2011 Fiscal Year Research-status Report
パルス圧縮を用いた大強度短パルス放射光発生に関する研究
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23760067
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
全 炳俊 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教 (80548371)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | コヒーレント放射光 / 短パルス / パルス圧縮 |
Research Abstract |
本研究では、これまでレーザの分野で発展してきたパルス圧縮の原理を放射光発生に応用する事で電子蓄積リングを周回するパルス幅200 ps程度の電子バンチから大強度短パルス放射光を発生させることを目的としている。本年度は大強度短パルス放射光発生実証実験に向けて、実証実験に不可欠なパルス圧縮器、パルス幅計測系の設計を行った。また、設計したパルス圧縮器、パルス幅計測系に必要な光学機器、装置群の選定を行い、それらを購入した。加えて、分子科学研究所極端紫外光研究施設に既設の短パルスチタンサファイアレーザ(800 nm)を用いて、パルス圧縮器・パルス幅計測装置といった機器の調整に不可欠な3次高調波光(266 nm)を本助成事業にて購入した非線形結晶と光学機器を用いた3次高調波発生装置により発生させ、上記の機器の調整に足りる強度(100μW)程度発生させる事に成功した。これにより、パルス圧縮器、パルス長測定系の調整が可能となった。現在、3次高調波光を用いてそれらの機器の調整を進めている。一方、これまで開発してきた数値計算コードを用いた詳細な発生機構の検討、実験結果解析のため、GPUを搭載した計算用コンピュータを購入し、GPUを用いた並列化による高速化とそれに立脚する多次元化を開始した。これまでに並列化により計算時間を以前の10分の1以下に短縮する事に成功した。これにより、様々な条件の計算を容易に行う事が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初はパルス圧縮器、パルス幅計測系の調整を本年度中に終了する予定であったが、現在、まだそれらの調整を行っている。これは申請者が昨年度7月に分子科学研究所から京都大学に異動した為、異動前後に引継ぎ等に時間を要した事、また、異動した為、実験を行う機会が当初計画よりも減少した事が主な原因である。本年度は分子科学研究所で実験を行う機会を増やし、当初目標である原理実証が達成できる様に注力する。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、本年度に発生に成功した3次高調波光を用いてパルス圧縮器およびパルス幅計測系の調整を完了する。その後、分子科学研究所極端紫外光研究施設において電子蓄積リング中を周回する電子バンチとチタンサファイアレーザとの相互作用により発生させた3次高調波光を調整したパルス圧縮器を通過させ、パルス幅計測系によりパルス幅を計測する。極端紫外光研究施設の電子蓄積リングは5月末まで高度化に向けた改造が行われこの期間はチタンサファイアレーザが利用可能であるが、6、7月中は改造後の調整運転が行われ、この期間はレーザが使用不可となる。この為、5月末までに機器の調整を終了し、8月以降に実証実験を行う予定である。また、上記の実験と数値計算コードの開発を同時に進め、実験結果の詳細な解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主要な機器の購入は本年度にて概ね終了したため、次年度はレーザや発生させた放射光の操作に必要な光学機器の購入に研究費を使用する。また、海外での学会発表を一件、予定しており本予算より旅費を支出する予定である。
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Research Products
(6 results)