2014 Fiscal Year Annual Research Report
多分割の分割統治法を用いた高速な固有値・特異値計算
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23760072
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
桑島 豊 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (40451736)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 多分割の分割統治法 / 固有値問題 / 特異値分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
大規模な実対称行列の固有値問題を高速・高精度に解くことは非常に重要な数値線形代数の課題であり、二分割の分割統治法はその目的の達成に有効な手法であると注目されている。研究代表者らが開発した多分割の分割統治法は標準的な分割統治法である二分割の分割統治法を拡張し、より高速にしたアルゴリズムである。 しかし、二分割の分割統治法は高精度であるものの、多分割の分割統治法では精度の面で支配的な演算部分である実対角行列と低階数摂動の和の固有値問題において固有ベクトルに精度低下の可能性があり、その改善のために多くの計算時間が必要となる場合があることが問題点である。 H26年度には、実対角行列と低階数摂動の和の固有値問題の精度向上を図る研究を行った。その中で、H25年度に提案した新たな計算手法の改良を提案した。この改良手法は、固有ベクトルの精度を悪化させている成分を特定し、その成分のみ修正するという方法で、適切なパラメータを設定することで精度を向上させることができた。 また、研究期間全体では、固有値問題に対する二分割の分割統治法の多分割への拡張手法を特異値分解に応用し、広い範囲の行列に対して高速に特異値分解を求める多分割の分割統治法を提案した。この手法には、微小な特異値に対する特異ベクトルの高精度計算手法や左右の特異ベクトルを同時に精度向上を図る手法が含まれており、固有値分解には存在せず特異値分解に独特な処理である。
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