2012 Fiscal Year Research-status Report
ハイブリッド強連成解析に基づくマイクロマシンの汎用マルチフィジクスシミュレータ
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23760078
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
石原 大輔 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (80363399)
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Keywords | マイクロマシン / シミュレーション / マルチフィジクス / 連成解析 / 有限要素法 / 構造‐流体‐静電界連成 |
Research Abstract |
マイクロマシンにおいては,マイクロ化に伴うスケール効果により,構造,流体および静電界の3 つの現象が強く連成するので,マイクロマシンを合理的に設計するための信頼性の高い汎用マルチフィジクスシミュレータが必要とされている.そこで本研究においては,マイクロマシンの研究開発に寄与するために,一体型解析と分離型解析の利点を兼ね備えた新しいハイブリッド強連成解析に基づくマイクロマシンの汎用マルチフィジクスシミュレータを開発する.さらにそれを複数の典型的なマイクロマシンに適用し,本シミュレータの有効性を,実験との比較に基づき,定量的に検証する.本年度に実施した研究の成果は,次の3点である. 1.本シミュレータの信頼性の基本的検証:前年度の成果「本シミュレータの開発(コード実装)」を受けて,3次元静電解析部分と3次元流体構造連成解析部分の信頼性を,それぞれ理論解と強連成解法でないと解けないベンチマーク問題「柔軟な弾性板が設置された流路」により検証し,その高い精度と安定性を確認した. 2.本シミュレータの高性能計算機への実装:3次元3連成解析の計算負荷は極めて高かったので,本シミュレータを高性能計算機に実装した. 3.マイクロマシンとその振動実験装置の開発:本シミュレータの信頼性を,実験的に検証するために,基本的なマイクロマシン構造要素「マイクロ片持ちはり」とその振動実験装置を開発した.本はり(長さ数百μm)は,単結晶シリコンで作成され,向かい合うシリコン面と絶縁されており,本はりとチップ底面との間に電圧を印可することで,本はりが静電力により振動する.本装置はmm以下のマイクロマシンに対して,数十ボルトまでの電圧を印可でき,周波数が約1kHz,振幅が約1μmの振動現象を真空中と空気中で測定できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度において,まず(1)マイクロマシンの汎用マルチフィジクスシミュレータに対する基本的検証と(2)本シミュレータの高性能計算機への実装が完了し,さらに(3)その信頼性を実験的に検証するためのマイクロマシンとその振動実験装置を開発したので,本研究の最終的目標である本シミュレータの実験的検証を行う準備が十分に整ったから.
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Strategy for Future Research Activity |
本シミュレータをマイクロマシンに適用し,実験結果との比較に基づき,その信頼性を定量的に検証する.ここで本学マイクロ総合化技術センターからの協力を受けることにより,マイクロマシンの作成を効率化し,その費用を最小限に抑える.本シミュレータを多面的に評価し,その信頼性を十分に確保するために,静電界連成効果と空気連成効果の大きさを,開発したマイクロマシン用振動実験装置において変化させる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費として,調査研究と成果発表,その他として,マイクロマシンの材料,作成設備使用料および実験用電気機械部品などを予定している.次年度使用額が生じた状況は,実験のための消耗品費の変更である.従って,その使途は,実験のための消耗品費とする.
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Research Products
(5 results)