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2011 Fiscal Year Research-status Report

新たな力学特性を発現する3次元空間構造体のモデル創成

Research Project

Project/Area Number 23760086
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

田中 展  東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70550143)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords空間構造体 / 柔軟節 / 可変機構 / 3次元回転 / 構造不安定
Research Abstract

本研究の目的は,結合節の回転特性に着目した柔軟構造モデルを構築し,新たな力学特性を発現する空間構造体を提案・開発することである.H23年度では,この目的に準じて研究活動を遂行した結果,申請者は以下に示す2つの研究実績(1),(2)を獲得した. (1)双剛性を示す新規D8対称構造の発見特殊な接合形態を有するD8不変な可変機構を提案し,外力負荷に対して内部セルが連動回転することで,当該構造が異なる2パターンの正方セル構造(互いに45°傾いている)に変形することを数理的に証明した.正方セル構造は強い異方性を示すため,外力に対して低剛性な正方セル,または高剛性な正方セルに変形する当該構造は,双剛性を有する構造であるといえる.この特異な力学特性を利用することで,インデンテーションのような狭範囲の押し付け力に対しては柔らかくなり,広範囲の押し付け力に対しては固くなるような新しい構造材料の開発が可能となることから,本研究成果は独創的で非常に意義がある. (2)3次元回転を表現する柔軟節モデルの定式化申請者が構築した2次元モデルをベースに,多彩な変形様式が期待できるより一般的な3次元空間構造へのモデルの拡張に従事した.具体的には,「柔軟節の3次元モデリング」,「はり要素の3次元有限回転の形式化」の2つの問題に取り組んだ.後者に関しては,既出のモデルを参考にして3次元オイラー角の近似式より定式化を行った.そして,ベンチマークとしてグリーンヒル問題と呼ばれる3次元はりのねじれ座屈計算を実施し,高精度に計算できることを確認した.しかし,前者の3次元柔軟節モデルを導入したとき,節点上での3次元回転モーメントの相互作用の受け渡しが精度良くできないことが判明した.そのため現在は,3次元有限回転の表記法の一つである四元数体(quaternion)を用いて定式化が可能かどうかを検討中である.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

【研究実績の概要】で述べた研究実績(1)に関しては,従来の構造材料には見られない変形機構を有する新規構造体を発見した.この研究成果は,当該分野において有数の英文誌であるInternational Journal of Solids & Structures (IF:1.677)に掲載されている.また,得られた新規構造体の変形機構から導かれる双剛性という特異な力学特性の概念を申請者は構築した.このアイディアは,論文として整理し,当該分野において有数の英文誌であるProceedings of the Royal Society A (IF:1.672)に現在投稿中である.研究実績(2)に関しては,H23年度において論文に整理できるレベルには達しなかったが,オイラー角による近似の定式化が困難であることを見出したことは高く評価できる点である. また,上記の両研究成果は,H23年度に2件の国内会議(第16回計算工学講演会(東大柏キャンパス)および 第61回理論応用力学講演会(東大生研))にて講演発表を既に行い,H24年度では2件の国際会議(WCCM2012(ブラジル)およびICTAM2012(北京))と1件の国内会議(M&M2012若手シンポジウム(函館))にて研究発表を行う予定である.ゆえに,研究成果の広報活動は当初の計画通り順調に進んでいる. 以上を踏まえて,本研究は"おおむね順調に進展している"と判断できる.

Strategy for Future Research Activity

本研究の目標は,新規構造体を提案するだけに留まらず,提案した構造を製作して,その変形機構および力学特性を具現化することである.ゆえに,H24年度では,提案したD8対称構造の製作に従事する.当該構造は2次元平面構造であるので,2.5次元化した(2次元構造を押し出した)構造,もしくは3次元化した構造として設計する必要がある.現時点では,2.5次元化した構造をベースに製作モデルを考案する予定である.次項の「次年度の研究費の使用計画」で述べるように,研究費は申請時の計画通り大部分は当該構造の製作費用に割り当てる予定である. また,H23年度において達成できなかった3次元柔軟節モデルの定式化にも取り組む.D8対称構造の3次元化においても,3次元柔軟節モデルの構築は必要不可欠である.研究方針としては,4次元ベクトル空間を表す四元数体(quaternion)を用いて柔軟節上での3次元回転モーメントの相互作用を表現することを試みる.この研究課題が達成することで,生体構造を対象にしたような複雑な3次元空間構造への解析が展開可能となる.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

当該研究費使用計画では,H23年度は主に計算機およびその周辺機器の費用に,H24年度は主に構造体製作および実験装置開発の材料費と試験装置費に割り当てる予定であった.実際,H23年度では研究費はほぼ計画通りに計算環境の拡充に使用した.H24年度は,申請者が新たに提案したD8対称構造の製作に研究費の大部分を使用する予定である.具体的には,当該構造材料加工費,駆動装置費,駆動試験基盤加工費,および駆動試験周辺機器に割り当てる予定である. また,2件の国際会議および1件の国内会議での研究発表が確定しており,必要となる旅費および学会参加費を支出する予定である.また,英文校正費および論文投稿料/別刷料,ならびに研究関連書籍費など必要に応じて支出する予定である.

  • Research Products

    (4 results)

All 2012 2011 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Planar Mobility Modes of Eight-bar-jointed Structures with a Single Degree of Freedom2012

    • Author(s)
      H. Tanaka, Y. Shibutani, S. Izumi, S. Sakai
    • Journal Title

      International Journal of Solids and Structures

      Volume: Vol.49, No.13 Pages: pp.1712-1722

    • DOI

      10.1016/j.ijsolstr.2012.03.008

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 単一自由度を有する8位節反復構造の可変機構2012

    • Author(s)
      田中 展,渋谷 陽二,泉 聡志,酒井 信介
    • Organizer
      日本計算工学会 第16回計算工学講演会
    • Place of Presentation
      東京大学柏キャンパス
    • Year and Date
      2012年3月9日
  • [Presentation] 正方セルの回転に誘起されるD8対称構造の力学特性2011

    • Author(s)
      田中 展,泉 聡志,酒井 信介
    • Organizer
      第61回理論応用力学講演会
    • Place of Presentation
      東京大学生産技術研究
    • Year and Date
      2011年5月27日
  • [Remarks]

    • URL

      http://www.fml.t.u-tokyo.ac.jp/~htanaka/index-j.html

URL: 

Published: 2013-07-10  

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