2013 Fiscal Year Annual Research Report
固体中の欠陥ダイナミクスと劣化機構を発現する新しい分子計算モデリング
Project/Area Number |
23760087
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原 祥太郎 東京大学, 生産技術研究所, 特任講師 (10401134)
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Keywords | ナノ材料 / 分子動力学 / 拡散 / カチオン / 固体酸化物形燃料電池 |
Research Abstract |
昨年度、本研究内において提案したレアイベント技術を固体酸化物形燃料電池材料へと展開した。具体的には電池性能の劣化に関連する電解質材料イットリア安定化ジルコニウム(YSZ)の陽イオンの自己拡散解析に着手し、本手法を用いることで、電池作動温度での活性化エネルギーの導出に成功した。本年度は、昨年度の解析で得られた活性化エネルギーデータを入力とするカイネティックモンテカルロ計算を開発した。本計算モデルでは、活性化エネルギーの高いカチオン拡散のみを考慮し、活性化エネルギーの低い酸素拡散の効果は無視した。また原子配置による活性化エネルギーのばらつきの効果と、活性化エネルギーの温度依存性も含めることで、自己拡散係数の予測を実現し、実験値との一致を示した。特に、活性化エネルギーの温度依存性の効果が自己拡散係数の予測に与える影響が非常に大きいことを明らかにした。また、バルクだけでなく表面近傍での拡散にも拡張した。またレアイベント技術とカイネティックモンテカルロ法を組み合わせた手法によって、従来の分子動力学法では予測できなかった長時間スケールの原子拡散現象の予測が可能となることを示した。 また本研究内容で国内招待講演と海外発表を行い、本研究内容の重要性を対外的に示した。本手法は固体内欠陥のダイナミクスを明らかにする上で優れた手法であると考えられ、今後、拡散過程だけでなく相変態現象などへと展開できるものと考えられる。
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