2012 Fiscal Year Research-status Report
多孔質材料のマルチスケール確率応力解析および信頼性設計法に関する研究
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23760097
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
坂田 誠一郎 近畿大学, 理工学部, 准教授 (80325042)
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Keywords | 確率均質化 / マルチスケール確率応力解析 / 多孔質材料 / 光造形法 / 信頼性設計 |
Research Abstract |
本年度は,研究計画に則り,(1)非一様な微視的ばらつきを考慮した二次元多孔質材料のマルチスケール確率応力解析法の開発,(2)三次元的な空孔分布を有する多孔質材料のマルチスケール確率応力解析の実行およびそれらの数値的検証及び(3)光造形装置による非一様な微視的ばらつきを有する二次元多孔質材料試験片および三次元的な空孔分布を有する多孔質材料試験片の試作を試みた.具体的には,(1)については申請者らが開発を行ってきた摂動法に基づく手法による確率応力解析手法を開発し,(2)非一様なばらつきを有することにより三次元的な空孔分布を有する解析モデルについて確率応力を実施した.また,あわせてモンテカルロシミュレーションにより得られた結果と比較した.この結果により,提案手法による非一様な微視的ばらつきを有する多孔質材料のマルチスケール確率応力解析の実施可能性が明らかとなった.本年度の成果の最も重要な意義は,非一様な微視的ランダム変動が,多孔質 材料の微視的応力状態のばらつきに及ぼす影響を明らかとした点である.また,当該問題について申請者らが開発した手法の有効性を数値的に示し,今後の研究遂行に利用可能であることを示した. 一方,(3)については,前年度に引き続き多孔質材料の作成および実験により確率均質化特性に関する実験的データの取得を継続して行ったものの,非一様な微視的ばらつきに対する評価が可能となるまでには至らなかった.今後,引き続き実験データの取得を試みる必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では,①非一様な微視的ばらつきを考慮した二次元多孔質材料のマルチスケール確率応力解析法の開発,②三次元的な空孔分布を有する多孔質材料のマルチスケール確率応力解析の実行,③,④①,②に対応するモンテカルロシミュレーションを実行し,提案手法の妥当性を数値的に検証⑤光造形装置による非一様な微視的ばらつきを有する二次元多孔質材料試験片の製作及び実験,⑥光造形装置による三次元的な空孔分布を有する多孔質材料の試験片の作成法の検討の計6項目の実施を予定していた.これらの項目のうち,①~④については計画通り手法開発が完了し,数値計算も実施した.従って,数値シミュレーションの部分については順調であると考える.一方,実験的検証の部分については,前年に引き続き,種々の多孔質材料の作成を試みたが,装置不具合および業者の国内事業所の閉鎖等のトラブルもあり,十分な検討にまでは至っていない.さらに,今回用いている光造形装置が造形物の精度,強度及び造形時間など各種の問題を有し,当初想定していた工夫および修正では改善が見込めず,今後の研究遂行に支障をきたすとの結論に至ったため,今後別の造形方法および造形装置の利用を含め実験的検証手段を検討する必要がある.かかる理由から,進捗はやや遅れているとした.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として,まずは研究の遅れの原因となっている多孔質材料試験片作製作成法について見直す予定である.現在検討している方法としては,現在使用中の造形装置について改良を行う,もしくは別途安価な三次元造形装置を導入し,当該試験を実施する等が挙げられる.これまでの検討および装置製造業者の状況から,前者の遂行は難しいと考えており,現時点では後者の新たな造形装置導入の可否について検討を行っている. 一方,数値シミュレーションに関しては,予定通り順調に進捗しているため,計画通り来年度は種々の非一様ランダム変動の影響の解析法の開発ならびに数値計算の実施を行うと共に,巨視的および微視的な変動を同時に考慮した問題や,熱応力問題も考慮したより一般的な課題へと拡張する予定である.また,併せて,計算精度向上や計算コスト削減のための手法開発,並びに設計手法開発に着手する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
達成度および今後の研究推進方策でも記述したとおり,まずは実験機器の整備が研究遂行のための最優先・最重要課題である.研究計画当初に想定していなかった装置トラブルおよび業者の事業所閉鎖などの問題も重なり,三次元造形については初期検討から再度行わざるを得ない状況である.かかる理由から,本助成が基金助成金であることも鑑み,昨年度使用予定であった造型機整備費用(レーザーユニットの交換や消耗品等の購入)及び諸経費を節約し,本年度予算と合わせてまずは三次元造形装置の導入を行う予定である. また,併せて昨年度までに得られた研究成果の公表費用(旅費,学会参加費等)に利用させて頂きたいと考える.
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Research Products
(10 results)