2013 Fiscal Year Research-status Report
多孔質材料のマルチスケール確率応力解析および信頼性設計法に関する研究
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23760097
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
坂田 誠一郎 近畿大学, 理工学部, 准教授 (80325042)
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Keywords | マルチスケール問題 / 確率応力解析 / 多孔質材料 / 三次元造形法 / 信頼性評価 |
Research Abstract |
平成25年度は,研究計画に則り,三次元多孔質材料の試験片作製及び力学的評価とマルチスケール確率応力解析法の拡張を行った.まず実験面について,本年度の当初計画では,事前に導入済みの光造形装置を用いた三次元造形により試験片を作成予定であったが,機器のトラブル等の問題,及び造形物の強度面の不十分さに鑑み,新たに溶融積層型の三次元造形装置を急遽導入し,造形物の力学的評価を行った.具体的には,有孔試験片の孔形状や配置のばらつきを考慮した試験片の引張試験および確率シミュレーションを再度実施し,本造形手法を用いた場合についてこれまでの確率応力解析法の有効性を検証した.さらに,マイクロスコープ等により造形物の詳細な観察を行い,数値モデルへの反映について検討を行った. シミュレーション面では,樹脂構造物において考慮すべき熱的影響について検討を行った.また,これまでの規則的な微視的変動に加え,例えば介在物や空孔の非周期的なランダム変動を考慮可能なマルチスケール応力解析手法について検討を行った.具体的には,微視的な介在物や空孔の幾何学的変動が微視的応力状態に及ぼす影響は材料の平均的な特性に及ぼす影響より大きいことを示し,当該研究の必要性を示すと共に,既存の解析手法の問題点を明らかにした. 昨年度より課題となっていた非一様微視的ばらつきを考慮した問題に関し,現在有孔試験片の強度に関する実験および解析について実施しており,来年度は計画通りこれらを考慮した三次元造形物の信頼性設計法について検討を行う予定である.また,上記の通り従来の解析手法の問題点が明らかとなったため,新たな手法を開発し適用可能性を検証する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の通り,シミュレーション面では順調な進捗となっているが,実験面において機器の更新及び基礎データ収集を再度行っているため,当初計画より若干遅れていると考える.しかしながら,新たに導入した造型機は以前に使用していたものと比較し安定性や精度の面で優れており,また造形物の弾性率や強度も高いことから,今後の実験はスムーズに進むと考えており,最終的な目標には研究期間内に到達できると考えている. また,上記実験面での遅れを想定し,信頼性設計のための近似最適化手法については次年度に先駆けて徐々に検討を進めていることから,研究テーマ全体での進捗はやや遅れているとした.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度報告したとおり,本年度は造形物の作成方法を見直し,新たな造形装置を導入して実験を再開できた.現在基礎データの再取得等を急遽行っているが,今後さらに実験を実施し,強度データの取得や三次元多孔質構造の力学評価等を行い当初の計画に追いつくようスケジュールを改善する予定である. シミュレーション面では昨年度と同様順調に進捗しているため,今後も計画通り実行する予定である.また,来年度が最終年度であることに鑑み,今後さらなる研究テーマへと発展できるよう,種々の新たな試みを行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は昨年度からの課題として実験用試験片作製のための三次元造形装置の更新を行った.この際,諸経費含めた物品購入費用及び消耗品費用の総計が当該年度の所要額となる見込みであったが,特に消耗品(造形用樹脂)について,造形の工夫及び装置更新に係る基礎データの取得作業を実施したところ,当初計画より消耗品の消費が抑えられたため,当初予定より上記材料の購入を遅らせることができた.尚,本材料は消耗品で有りかつ購入後一ヶ月程度を目処に使用するよう業者からの推奨があり,本年度は特に劣化等の影響を避けるため使用直前での消耗品の導入を目指したため,残金を来年度に繰り越し,良い状態での消耗品購入を実施することとした. 上記の通り残金は消耗品の消費量節約に伴う消耗品購入時期の先送りによるものであり,来年度は本格的に試験片作製を行うため,繰り越し予算は早期に使用予定である.また,新装置導入のために前倒し支給を行って頂いており,残額は成果報告に関する旅費等諸費用の予定であるため,計画通り使用予定である.
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