2012 Fiscal Year Annual Research Report
炭素繊維強化熱可塑性樹脂の接合支援材料と直接通電抵抗加熱を用いた接合手法の開発
Project/Area Number |
23760102
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
田中 和人 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (50303855)
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Keywords | 複合材料 / 炭素繊維 / 熱可塑性樹脂 / 直接通電抵抗加熱 / 接合 / 溶着 |
Research Abstract |
熱可塑性樹脂をマトリックスとする炭素繊維強化熱可塑樹脂複合材料(CFRTP)は耐衝撃性,リサイクル性,生産性に優れていることから自動車産業や航空機産業において利用拡大が期待される材料である.複合材料は成形時には複雑な構造を一体化できるというメリットを持つが,自動車などを組み立てる際には接合箇所は依然多く存在する.CFRTPの接合技術として,リベット締結などの機械的接合,接着剤による化学的接合,溶着などが開発されている.これらの接合技術の中で接合時間,接合強度を考慮するとCFRTPの接合には溶着が適した技術と考えられ,レーザー,超音波などによって発生する熱を利用するものが開発されている.しかし,レーザー溶着法は材料の透過吸収特性を利用して溶着を行うため,材料に制限があり,超音波溶着法では,溶着する部材ごとに超音波を発振するシステムが異なるため,加工の自由度が制限されるという欠点を持つ.一方,直接通電抵抗加熱溶着法は通電による抵抗加熱媒体の発熱を利用する方法であるため,溶着工程が簡易的であり低コストでの溶着が可能である.既存の技術としては,金属メッシュを用いた方法が実用化されているが,金属メッシュ利用による重量増加や樹脂と金属メッシュ界面間でのはく離が懸念されている.ここでは,抵抗加熱媒体として強化繊維である炭素繊維に着目して,直接通電抵抗加熱を用いた接合手法の開発,接合に用いる接合支援材料の開発を行った.具体的には,開繊糸と樹脂不織布から構成される接合支援材料を開発し,直接通電により45秒程度といった短時間で250℃まで加熱することが出来ること,直接通電抵抗加熱溶着では,あらかじめ樹脂を溶融させてから加圧する方法が適していること,溶着時の圧力は接合強度に大きな影響を与え,溶着圧力が1.0MPaで17.9MPaの引張せん断強度が得られることなどを明らかにした.
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