2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノビーチマーク法による高強度鋼のギガサイクル疲労機構の解明
Project/Area Number |
23760106
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
古谷 佳之 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (60354255)
|
Keywords | 疲労 / ギガサイクル疲労 / 高強度鋼 / 内部破壊 / 介在物 |
Research Abstract |
高強度鋼では介在物を起点とした内部破壊が生じ、ギガサイクル疲労(疲労限の消滅)が生じる。この場合、疲労強度を支配する主な因子は介在物寸法であることが明らかになりつつあるが、疲労強度を定量的に推定するためのモデリングは不完全である。このようなモデリングを行う際にはき裂伝ぱ支配説に基づく事が合理的であるが、き裂伝ぱ支配説を支持する具体的な証拠は得られていない。き裂伝ぱ支配説を検証するためには、内部き裂の伝ぱ挙動を観察・解明する必要がある。このような背景から、内部き裂伝ぱ挙動の観察技術の構築を図った。 通常の表面き裂の場合にはき裂を直接観察することができるが、内部き裂の場合には直接観察することができない。そこで、本研究ではビーチマークを用いることで内部き裂の伝ぱ挙動の観察を試みた(ナノビーチマーク法)。ビーチマークとは変動荷重が作用した際に破面上に形成される模様であるが、疲労試験中に意図的に変動荷重を与えることで、ある繰返し数におけるき裂前縁の様子をビーチマークとして破面上に残すことができる。ただし、内部き裂の場合には数十ミクロン程度の小さなき裂を観察できる分解能が必要であるため、可能な限り細くて明瞭なビーチマークを刻む必要があった。そこで、様々な条件下で2段多重変動応力試験を行い、ビーチマークの分解能が最大となる条件の探索を行った。この場合、試験に膨大な時間が必要となるため、本研究では超音波疲労試験を用いて試験を加速した。その結果、十分な分解能を持つビーチマークを得ることに成功した。また、観察されたビーチマークが示唆した内部き裂の伝ぱ挙動は、き裂伝ぱ支配説を支持するものであった。
|
Research Products
(3 results)