2011 Fiscal Year Research-status Report
熱酸化による光ナノインプリント用超微細透明金型の創成
Project/Area Number |
23760119
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
野田 大二 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 助教 (00378267)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ナノインプリント / 透明金型 / 熱酸化 / 光インプリント / 超微細構造 / 高アスペクト比加工 / マイクロマシン / MEMS |
Research Abstract |
本研究では,微細パターンの転写技術として注目されている光ナノインプリント技術を用いて,周期をナノメートルオーダーとするX線回折格子を実現することにある.シリコン微細加工技術によりサブミクロンパターンを形成し,熱酸化という極めて単純な方法でシリコンを二酸化ケイ素にすることで透明な微細金型を得る手法を提案している.シリコン微細加工技術により,まず周期2.0μm,加工深さ30μm以上となるシリコン構造体を形成し,熱酸化による二酸化ケイ素の形成実験を行った.微細パターン部の酸化の進行を詳細に調べるため,ドライ酸化にて熱酸化を行った.その結果,微細高アスペクト比構造であっても格子パターンのシリコンがすべて酸化され,透明化していることを確認した.しかし,アスペクト比が30を超える超微細構造体のため,高温での熱酸化時にパターンの歪みが確認されたことから,成形性も考慮して線幅,加工深さを再設計してシリコン金型の作製を行うこととする.また基板部の酸化を促進するため,今後はウェット酸化での熱酸化も行い,透明金型を完成させる実験を行うこととする.微細加工では狭周期化の実験も進め,周期1.2μmの線幅にて約10μmの加工深さを形成出来ることを確認した.加工精度を保ちつつ加工深さを増すことで,微細高アスペクト比構造の実現を目指す.一方で微細パターンの転写性を調べるため,まず熱インプリント技術によるパターンの転写実験を行った.周期2.0μm,加工深さ5μm,有効面積5mm角のシリコン金型を用いてホットエンボス装置にてPC基板に転写したところ,比較的良好な形状転写が観察できた.しかし金型から離型した際に部分的にパターンの変形も見られた.熱インプリント成形の条件は光インプリントでも参考になるので,パターンサイズに応じた更なる最適条件を検討してゆく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のポイントは,シリコン微細加工技術により作製したシリコン構造体を熱酸化により透明な二酸化ケイ素にして透明金型を作製することにある.ドライ熱酸化により微細高アスペクト比構造が完全に酸化出来ることが確認出来たので,本提案手法にて透明金型が作製出来ることが明らかとなった.微細パターンであるがゆえに超高アスペクト比構造においては歪みが生じており,線幅狭周期化と転写性を考慮したシリコン構造体の作製が必要となるが,これは比較的容易に解決可能な課題である.また,熱酸化による線幅の変化は理論的な酸化がなされていることから,加工したシリコン構造体の線幅を調整することで調整できることも確認しており,線幅を考慮して設計したパターンを熱酸化したところ,概ね設計通りの透明高アスペクト比格子パターンが得られた.これら設計指針に基づき基材部まで熱酸化により透明化すれば,超微細透明金型が完成することになる.よって,本研究は計画通り順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
シリコン金型の作製技術は確立できたと言えるので,インプリントに最適な形状となる線幅,加工深さを検討し,超微細透明金型を完成させ光ナノインプリント技術による成形実験を進めてゆく.そのために,パターンに歪みのないシリコン金型の作製を進めるとともに,これまでパターン部のみ酸化していたものを,基材シリコン部も含めて透明となる熱酸化実験を進める.一方で,シリコン金型を用いて熱インプリント技術による転写性の評価も同時に進めることとする.これは熱インプリントにおける条件設定は光インプリント技術に転換することが出来ること,離型時のゆがみや変形への対処が可能なこと,またシリコン加工時に形成されるスキャロップの影響などを考慮することが出来るためである.熱インプリント成形ではあまり加工深さを増すと転写が出来ないことが予想されるため,加工深さは5μm程度にとどめておくこととする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
酸化炉の導入予定が当初計画の9月から11月にずれ込み,稼働するまでに時間を要したため酸素ガスの使用量が当初の見積もりより少なくなり,次年度に繰り越した.これまでに熱酸化により微細構造体部分が完全に酸化されることは確認出来ている.しかし,基材部分も透明にしなければ金型を通して光を微細パターン部に照射することが出来ない.今後はウェット酸化による長時間の熱酸化により完全に透明となる金型を得ることが肝要となり,シリコン加工に必要なプロセスガスや酸化に要する酸素ガスを購入して研究を進めることとする. 一方で,得られた研究成果を国内外に示すために,本年度も展示会や国際会議等での研究成果発表も計画している.
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