2012 Fiscal Year Annual Research Report
金属板の加工プロセスにおける温度モニタリング法の開発
Project/Area Number |
23760123
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Research Institution | 仙台高等専門学校 |
Principal Investigator |
高橋 学 仙台高等専門学校, 機械システム工学科, 助教 (00585292)
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Keywords | 超音波計測 / 温度計測 / 非破壊計測 |
Research Abstract |
近年、自動車産業など日本のものづくりの現場において物体の内部温度を精度よく測定するための技術が必要とされている。とくに溶接や鋳造など加熱、冷却を伴う材料の加工プロセスにおいて、材料内部の温度分布を測定する技術へのニーズがある。また近年、超音波パルスエコー計測と熱伝導解析を効果的に組み合わせた温度分布計測法が新たに研究されている。この測定の原理は材料中を伝搬する超音波の音速の温度依存性を用いたもので、これまでの検証(アルミのダイカストプロセスを想定した鋳造模擬実験、レーザー超音波法による非接触の温度モニタリング実験など)を通じて本手法の工業プロセスへの有効性を確認した。 本課題では、材料内部で反射した超音波を解析の指標に用いた手法について新たな視点から研究を試みた。はじめに、超音波が材料中を伝搬する過程をシミュレーションによって解析し、材料中を伝搬する際に干渉波が連続的に発生する機構について材料内部に温度分布を与えた条件でのシミュレーションを繰り返し行うことで検証を行った。その結果、干渉波の間隔は温度分布及びその温度の高低によって変化し、その変化の程度は従来用いられる超音波計測法で十分に計測可能な量であることが確認された。しかしながらその変化の傾向は材料の中心を基準に対称となったため、材料内部の温度分布を一意的に求めることは困難であることが判明した。また、シミュレーションの妥当性を検証するため、実際の金属板(アルミ合金A2017)を用いて干渉波の計測を行った所、計測された波形には材料内部を伝搬する際に生じる干渉波が周期的に計測され、その間隔はシミュレーションの結果とほぼ一致したことからシミュレーションの妥当性が確認された。
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