2011 Fiscal Year Research-status Report
高速オートフォーカス機構を用いた高信頼超短光パルスマイクロ接合システムの開発
Project/Area Number |
23760124
|
Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
玉木 隆幸 奈良工業高等専門学校, 電子制御工学科, 助教 (80455154)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | オートフォーカス / 超短光パルス / 微細加工 / FPGA / 階調値差 / コントラスト法 |
Research Abstract |
本研究では、超短光パルスマイクロ接合法にオートフォーカス機構を組み込み、被接合材料の境界面高さに応じて集光点位置をリアルタイムに自動調整可能な接合システムを開発する。本システムを用いれば、確実に境界面のみを溶融させることができ、安定性、信頼性、品質性の観点から高度化した接合技術を確立できる。さらに、構築されるオートフォーカス機構は生産加工分野における要素技術となるため、穴加工、溝加工をはじめとする多くの微細加工分野への展開が可能であり、三次元微細構造の形成技術に応用することもできる。 本システム開発を実現するために、平成23年度においては、大量の画像データを並列、かつ、リアルタイムに高速処理可能なFPGA (Field Programmable Gate Array) を用い、画像処理用ソフトウェアを考案、開発することによって、1 MHz以上の画像処理能力を有する画像処理部を実現した。具体的には、焦点位置の異なる複数の画像を取得し、画像全体における階調値差は、フォーカスしていない画像よりもフォーカスした画像の方が大きくなることを利用し、撮影画像全体における階調値差を比較することが可能なプログラムを開発した。 さらに、本システムの動作を確認するために、集光用レンズの先端と試料との間隔が一番離れている点を初期位置とし、初期位置から集光用レンズの先端が試料表面に近づく方向に1 μmずつ50 μmまで変化させ、合計50枚の画像を取得した。これらの画像を画像処理部において演算することにより、19 μmの点において最大階調値を示した。また、この点における画像は、定性的ではあるが、フォーカスしていることを確認した。つまり、本画像処理部の開発が実現されたといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題においては、オートフォーカス機構の構築を平成23年度の研究目的としている。そして、この目的達成のために、大量の画像データを並列、かつ、リアルタイムに高速処理可能なFPGA (Field Programmable Gate Array) を用い、画像処理用ソフトウェアを考案、開発することによって、1 MHz以上の画像処理能力を有する画像処理部の開発を実現している。つまり、当初予定していた研究目的どおりに研究が進捗していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度において実現されたオートフォーカス機構を組み込んだ超短光パルスマイクロ接合システムを開発する。さらに、被接合材料の種類、形状を変化させ、接合システムに与える影響を評価する。この評価によって、被接合材料の反射率が高い場合においても、その形状が平面でないような場合においても、確実に被接合材料境界面を溶融し、接合させるための知見を集積し、適宜、接合システムの改良を行う。さらに、集光用対物レンズの開口数、接合システムにおけるレーザー光源(パルス幅:300 fs、波長:1064 nm、繰り返し周波数:500 kHz、1 MHz)から出射される光パルスのエネルギー、光パルスが被接合材料境界面に照射される時間などの接合条件が接合結果に与える影響を定量的に評価し、安定性、信頼性に優れた接合システムを開発する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度には、超短光パルスマイクロ接合システムを開発するために必要となる各種光学部品、制御用機器などを購入するために研究費を使用する計画である。さらに、研究成果を国内、国際学会などにて発表し、学術・商業雑誌等に投稿し、広く国内、国際社会に成果を発信するために必要となる旅費、論文投稿経費等に使用する計画である。
|