2013 Fiscal Year Annual Research Report
異なる感覚間の予測と実際の差を考慮した感性解析法の開発
Project/Area Number |
23760127
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳澤 秀吉 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20396782)
|
Keywords | 感性設計 / 期待効果 / クロスモーダル / 質感 |
Research Abstract |
本研究は,異なる感覚モダリティの時系列的な遷移における予実差が感性品質の知覚に与える影響を明らかにし,予実差の効果を考慮した新しい感性解析法の開発を目指している.本研究計画期間においては,製品表面のテクスチャの触感を対象として,視覚による予測評価と触覚による実感評価との差異が,事後評価に与える影響を明らかにする感性解析手法を提案しその有効性を検証する.昨年度までの研究で,ハーフミラーを用いた視覚と触覚の合成装置を開発し,視覚による予測がテクスチャの触覚(触感評価)に与える影響(期待効果)を定量的に評価する手法を提案し,その有効性を確認した. 本年度は,期待効果がどの様な条件で発生するかについての理論と,提案手法を用いた実験にもとづく検討を行った.これまでの実験結果,および期待効果における分野横断的な周辺研究の調査から,情報理論を用いた期待効果の数理モデルを構築した.具体的には,視覚による予測(期待)を主観確率分布としてモデル化した.そして,予測と実際の不一致の度合いを主観確率の自己情報量,予測の不確実性を主観確率分布の情報エントロピーとして定式化した.ハーフミラーによる視覚,触覚の合成提示装置を用いて,テクスチャの質感評価時における,主観確率分布,自己情報量,情報エントロピー,および期待効果を求め,それらの関係性を分析した.その結果,情報エントロピーが一定値以下で期待効果が発生し,自己情報量の増大に伴って期待効果が大きくなることを示した.このことから,予測の不確実性が期待効果発生の条件の一つであり,予実差の大きさが期待効果の大きさと正に相関することが明らかとなった. 本研究の成果は,工学設計に関する国際会議International Conference on Engineering Design 2013にて発表し,査読者による評価が高い論文に贈られるReviewer’s favoriteを受賞した.
|
Research Products
(3 results)