2011 Fiscal Year Research-status Report
超小型ターボマシン用超小型・超高速動圧型空気軸受の開発
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23760140
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
杣谷 啓 東京理科大学, 工学部, 助教 (70581429)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | フォイル軸受 / 高速安定性 / 動圧気体軸受 |
Research Abstract |
近年、移動機器の動力・電源に適用されるターボ機械の小型化への要求は強くなっており、10mm以下の軸を100万rpm以上で超高速回転させる超小型・超高速回転ターボマシンに関する研究が活発になっている。現在100万rpm超といった超高速回転を実現している静圧空気軸受は、高圧空気を供給するためにコンプレッサなどの付帯設備が必要となるため小型化が困難である。そのため、付帯設備を必要としない動圧型空気軸受の安定限界の向上が要求されている。そこで本研究では、100万rpmを超える超高速回転が可能な動圧型空気軸受を実現するために半球突起を施したディンプルフォイルを用いた動圧型空気フォイルジャーナル軸受を提案し、その高速安定性について検討を行う。平成23年度は、提案する軸受と第一世代バンプフォイルジャーナル軸受を実際に製作し、両軸受の構造的特性(剛性および減衰係数)を測定するとともに、高速安定性について実験的・数値的な検討を行った。その結果、以下のことが明らかとなった。(1)提案するディンプルフォイル軸受構造は第一世代バンプフォイル軸受構造と比較して低い動的剛性、高い減衰係数を示した。(2)ディンプルフォイルジャーナル軸受および第一世代バンプフォイル軸受は直径6mm、軸質量4.7gの軸を76万rpm以上の高速回転で安定的に支持できることが実験的・数値的に明らかとなった。ただし、エアタービンの駆動限界のために実験的にこれ以上の回転数における安定性を得られなかった。(3)取り扱った二種類の超小型フォイル軸受におけるホワール比は0.15程度であり、一般的な動圧型気体軸受と比較して小さく、高速安定性が優れていることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度には、(1)提案するフォイル軸受の構造特性、(2)提案するフォイル軸受の高速安定性について検討を行った。 (1)提案するディンプルフォイルジャーナル軸受および第一世代バンプフォイルジャーナル軸受における構造特性(動剛性・減衰係数)を周波数応答試験により明らかにし、本ステップはほぼ予定通りに進展した。これにより、提案するフォイル軸受の高速安定性を数値的に求めるための必要パラメータが得られた。しかし、(2)高速安定性実験では若干の進展の遅れがでている。実験において76万rpm以上の高速回転で安定的に支持できることが確認できているが、数値解析ではトップフォイル変形を考慮しない簡易モデルについては計算が進んでいるもののトップフォイル変形を考慮した数値計算は現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には、(1)提案する動圧型フォイルジャーナル軸受の数値計算(2)スラスト軸受の検証、(3)提案するフォイルジャーナル/スラスト軸受を用いた超小型遠心圧縮機の製作について進めていく予定である.(1)提案するフォイルジャーナル軸受についてトップフォイル変形を考慮した数値計算を行う。計算においては、微小時間ステップごとにトップフォイル変形と軸受すきま内圧力の支配方程式、回転軸の運動方程式を同時に計算することで軸心軌道を求める非線形軌道法を用いる。そして、提案するフォイルジャーナル軸受の高速安定性を数値的に明らかにし,その有効性を確認するとともに数値解析による高速安定性予測を可能にする。(2)小型のフォイルスラスト軸受を実際に製作し、その軸受特性(負荷容量・減衰係数)について検討する。小型のバンプフォイルスラスト軸受はターボ機械に使用するにあたって十分な負荷容量を持っていないことが報告されており、ここでは十分な負荷容量を持つと考えられる軸受面に溝を持つフォイルスラスト軸受を数値的・実験的に検討する。そして、超小型遠心圧縮機用のスラスト軸受として十分な性能を持っていることを確認し、提案するフォイルジャーナル軸受の数値計算結果とあわせて軸受設計条件の選定を行う。(3)提案するフォイルジャーナル/スラスト軸受を用いた超小型遠心圧縮機の設計を行い,実際に製作を行う。回転数を変化させた際の体積流量を流量計によって測定し,出口圧力を圧力計で測定することで遠心圧縮機として機能することを確認する。また、エアタービンによって駆動した回転軸の軸心軌跡を非接触変位計によりモニタし,安定限界まで観察を行うことで高速安定性について検証を行う。そして提案するフォイルジャーナル/スラスト軸受を用いた超小型・超高速回転ターボ機械の実現可能性を明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度において本研究に関わる成果発表を行わなかったために次年度に使用する予定の研究費が生じた。これは国内の学会よりも国際的な学会において発表すべきと判断したためである。繰り越された研究費は平成24年度に講演発表を行う予定であるアメリカ機械学会International Joint Tribology Conferenceにおける講演登録料・旅費として使用する予定である。消耗品としてはノイズ対策として変位計専用電源の購入、計算用PC費、スラスト軸受および小型遠心圧縮機を製作するための材料費を計上した。加工費としてはスラスト軸受,および超小型遠心圧縮機の加工・製作費用を想定している。
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