2012 Fiscal Year Research-status Report
ラグランジュ形式による非球形気泡群の運動を記述する力学モデルの構築
Project/Area Number |
23760142
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
栗原 央流 大分大学, 工学部, 准教授 (90344481)
|
Keywords | キャビテーション / 超音波 / ラグランジュ力学 / 多重曲展開 / 混相流 |
Research Abstract |
本年度は,前年度までに導出したラグランジュ力学に基づく3次元非球形気泡群の力学方程式を用いた数値計算コードを作成し,3次元配置された気泡に対して運動を気泡間相互作用を考慮した解析を実行した.これにより,これまでの2次元軸対象気泡モデルに見られた特徴的な気泡の運動(体積振動,並進運動,および形状振動)をより一般的な3次元空間における複数(3個以上)の気泡においても観測した.さらに,3次元配置された気泡群特有の問題である気泡間相互作用の強さと方向の定量評価が可能となった.具体的には,形状振動(4重極ならびに8重極)の方向とその変化,気泡の並進運動(2重極振動)の方向とその移動距離が気泡の体積振動の強さや位相のずれによってどのような影響を受けるのかをあきらかにした.また,並進運動の3次元性は各気泡の中心位置の軌跡としても見ることができる.また,個々の気泡のふるまいと気泡間相互作用の強さおよびその方向を評価することによってもとの力学方程式に含まれる非線形項のうちどの項が支配的な影響をもつのかを知ることが可能となった.また,計算にかかる時間も3個の気泡の計算の場合,一般的なPC(core i7)を用いても1秒程度で実行できる.これは,他の解析方法(境界要素法やCIP法など)と比較して数百分の一から数千分の一という極めて単時間で相互作用する複数気泡に対するおおよそのふるまいが解析可能であることを意味する.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに導出した,3次元配置された任意の個数の気泡に対する力学方程式を用いた数値計算コードを開発し,実際に気泡群の運動の3次元シミュレーションを行った.この結果は,過去の研究や申請者による2次元軸対象問題を正しく再現可能であることから,当初の計画に沿った開発が実施されていると判断できる.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,数値計算コードの最適化と大規模計算(数十から数千個の気泡群の力学シミュレーション)に向けたコード開発をすすめ,大型計算機による気泡群のシミュレーションを実施する.とくに,気泡の数が増加すると個々の気泡についての相互作用に関する処理が膨大となるため,計算機のメモリの利用法や計算アルゴリズムの改良が必要となる.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
数十個程度の気泡に関しては,ハイエンドPCもしくはワークステーションの導入によって対応する.これより大規模な計算については,北海道大学等のクラウドサービスや大型計算機による並列計算を計画しており,そのための計算機利用料を計上している.
|
Research Products
(2 results)