2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23760143
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田坂 裕司 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00419946)
|
Keywords | 流れ制御 / 流体計測 / 船舶省エネ技術 / 気泡流れ |
Research Abstract |
気泡注入による船体摩擦抵抗低減法の高効率化をはかる研究を行った.この技術では船底境界層中に注入された気泡が流体摩擦抵抗を生み出す乱流構造を変化させることで抵抗が低減されるが,その効果が安定しないこと,および気泡注入のために大きな動力が必要であることから実用化に至っていない.本研究では,気泡注入を周期的にすることで低減効果の安定化と注入気泡量の低減を目指した. 最適な気泡注入周期を決定するための基礎研究として,水平チャネルに気泡を注入した場合に下流で形成されるクラスタ(気泡の集合)の定量化とその時空間発展を計測した.固定点で撮影した気泡画像に平滑化処理を施すことで,クラスタをボイド率(検査体積における気泡の割合)の時空間関数として表すことに成功した.得られた関数を時空間でフーリエ変換することで,流れのレイノルズ数を変化させた場合のクラスタの変化を定量的に表した.また,クラスタ形成に関して気泡の二体間干渉に注目し,注目気泡に対する最近接気泡の振る舞いを気泡径ごとに統計的に調べることで,気泡がクラスタ化する初期過程を明らかにした. 気泡クラスタ形成の時空間発展を調べるために,レールに載せた高速度ビデオカメラを気泡の移流にあわせて動かし撮影を行うラグランジュ計測を行った.解析の自動化が不十分であったため十分な統計量を得ることができなかったが,クラスタにおける気泡の取り込みや離脱を定量的に表すことに成功した. 周期的な気泡注入を実現するための装置開発を試みたが,気泡径の分散が大きく目指す装置の開発には至らなかった.解決する手法として気泡注入口を流れ方向に並べ注入を行う手法を考案した. 実船実験を想定した,超音波を用いた流れの診断装置の構想を練り,実現のための基礎実験を行った.
|