2013 Fiscal Year Annual Research Report
極微細シリコン構造内における気体の分子流を利用した集積化ガスシステム
Project/Area Number |
23760145
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保田 雅則 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80447424)
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Keywords | 熱伝導圧力センサ / 極微細高アスペクト比トレンチ / 超臨界流体製膜 / 集積化MEMS / 熱マイクロフォン / ステルスダイシング / MEMSプローブ |
Research Abstract |
本研究は、シリコン基板上に幅100nmオーダー・深さ数umの微細ギャップを形成し、それを利用して気体分子の計測や制御を行うことを目標とした。微細構造の中では気体分子の振る舞いは大気中のそれと大きく異なり、マクロスケールに於いては真空下で見られる現象が大気圧下でも発現する。従来、微細ギャップは薄膜の犠牲層エッチングを用いて基板と平行に形成されていたが、構造の脆弱さが問題であった。基板に垂直方向にギャップを形成する深堀エッチング技術があるが、これは幅100nm以下を保ったまま高いアスペクト比を実現することは困難であった。 初年度および次年度には、熱伝導圧力計やKnudsenポンプを大気圧下で効率よく動作させる「超臨界流体製膜によるギャップ狭窄技術」を開発した。深堀エッチングで形成したギャップの中に銅を製膜して狭窄させることで幅50nm深さ5umのギャップとし「シリコン極微細立体構造による熱伝導圧力センサー」を作製した。このセンサーは動作レンジの中心が大気圧付近になるように設計でき、また発熱体に金属を用いることが可能であり特性が向上した。ダイヤフラム型センサーと比べて構造が堅牢で小さく実装可能である。 次年度及び最終年度には「ポストプロセスによる標準CMOSへのMEMS集積化手法」を開発した。また派生技術として、上記センサーの銅はエッチングが困難であるため、ステルスダイシング技術を用いてプロセスに先立って改質層を基板に埋め込み、完成後に劈開によって狙った位置で素子分離する「ステルスダイシングを用いた劈開線埋め込み技術」を開発しMEMSプローブアレイの作製に応用した。また応用デバイス「熱マイクロフォン」が開発された。研究期間を通じて、垂直微細ギャップを用いたKnudsenポンプ自体の実現に至らなかったが、要素技術及び類似構造を用いた圧力センサーと派生技術・デバイスが開発された。
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