2012 Fiscal Year Annual Research Report
工業晶析装置内の撹拌翼形状と溶液状態を考慮した汎用的な有効核発生モデルの開発
Project/Area Number |
23760147
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
三角 隆太 横浜国立大学, 工学研究院, 特別研究教員 (40334635)
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Keywords | 撹拌・混合 / 晶析 / CFD / DEM / 結晶摩耗 / 二次核発生 / ポピュレーションバランス解析 / エロ-ジョン |
Research Abstract |
本研究では、化学・製薬・食品工業での代表的な反応・分離操作の一つである晶析操作について、結晶製品の高度な品質予測・制御方法の構築、ならびに生産性の向上を目指して、数値流動解析とモデル実験を行った。平成24年度に得られたおもな知見は以下の通りである。 1.晶析操作における核発生(二次核発生)の主要な因子とされる結晶粒子と撹拌羽根の衝突現象に関して、撹拌羽根の形状(パドル翼とディスクタービン翼)、羽根幅、回転数、ならびに翼設置高さが異なる条件において、撹拌羽根の前面ならびに背面に対する結晶粒子の衝突速度と衝突頻度の定量化を試みた。その結果、羽根前面に対する粒子の衝突は、羽根の形状や回転数などの条件にかかわらず、羽根の縁に沿って羽根面に対して法線方向に速い速度の衝突が発生し、衝突頻度は羽根が設置されている高さの領域に浮遊する粒子の個数で相関できることを明らかにした。一方、羽根背面に対する衝突は、羽根面に対して接線方向、とくに撹拌軸から槽壁方向に向かう衝突速度が顕著に大きくなることを明らかにした。このような粒子の衝突速度の傾向は、羽根近傍の液流速の影響を強く受けており、流速分布と強い相関性があることを明らかにした。 2.カリミョウバンの冷却晶析をモデルケースとして、結晶個数の収支式と溶質成分の物質収支式を連成させたポピュレーションバランス解析手法を構築した。同手法は、(i) 従来の手法では十分に考慮することのできなかった個々の結晶粒子の運動の影響について、上述の結晶粒子のラグラジアン解析により得られる固体粒子と撹拌羽根の衝突に関する統計データとして定量化することで、結晶粒子の衝突により結晶が摩耗するさいに発生する微粒子量を算出し、(ii) 溶液の温度と電気伝導度の同時連続測定により算出される溶液の過飽和度の経時変化を考慮した結晶成長・溶解モデルを組み合わせたものである。
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