2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23760152
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
真田 俊之 静岡大学, 工学部, 准教授 (50403978)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 混相流 / 界面 / 濡れ |
Research Abstract |
マイクロ・ナノスケールの微細パターンの濡れを解明するため,マイクロスケールでの実験および理論モデル構築を行った.まず理論モデル構築には,微細キャピラリーの濡れを表現することができる,ルーカス・ウォッシュバーン式を応用した.微細パターンを表現するために,表面張力,重力,粘性散逸の釣り合い式に,微細パターン内の圧力変化に関する項を追加しモデルを構築した.そのモデル解析の結果,内径が100マイクロメートル程度の場合,通常のキャピラリー内の上昇に比べて10分の1以下程度の濡れになることが明らかになった.またナノスケールの微細孔の場合には表面張力による気体側のラプラス圧が過大のため,その圧力が増加する過程を考慮することが重要であり,従来のモデルのように,初期条件として微細孔内が高圧では無く,非定常性が重要であることを示唆した.次にガラスキャピラリーを用いた簡易実験を行った.まず表面張力によって重力と釣り合うまでの液侵入実験を行い,ガラスの接触角を評価し,いずれも親水性であった.次にそのキャピラリーの片方を封じ,微細キャピラリーの濡れ実験を行った.その結果,数百マイクロメートルオーダーのガラスキャピラリーにおいては,モデルでも示されたように,平衡状態で気液界面での表面張力によって生じる内圧がすぐには発生しないため,全く液は侵入しなかった.また脱気した水においても実験を行ったが,ラプラス圧が発生しないことから,全く液は侵入しないことが明らかとなった.現状の理論モデルにおいては,表面張力によって気体が圧縮されることを仮定しているが,実際にはその圧力増加によって液中へと気体が溶解することが予想される.今後,気体溶解の影響をモデル化し,実験によってモデルの正当性を評価する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予想とは大きく異なり,モデルによれば,微細なパターンほど濡れやすいことが明らかになった.そのため実験において大きな方向転換を行ったが,今のところ順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度明らかにされた,界面移動の非定常性のモデルを高精度化し,気液界面での物質移動のモデルを組み込む.また実験においても液体中の溶存ガスの影響を調査することで,モデルの正当性を評価し,現象の解明を図る.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基本的に小型の実験装置の開発に使用する.物質移動の効果を調査するため,ガラスキャピラリーを加圧された液体チャンバーに接続して,そのキャピラリー内の界面挙動を調査する.そのために必要な実験装置,消耗品等に使用する.
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