2011 Fiscal Year Research-status Report
分子スケールからの流体‐壁面間相互作用の相補的な解明
Project/Area Number |
23760153
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山口 浩樹 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50432240)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 流体工学 / 表面相互作用 / 適応係数 / 分子線散乱実験 |
Research Abstract |
本研究では,非金属材料を対象に,統計的な効率を表すエネルギー適応係数は従来の金属材料に対する手法の拡張により新しい手法を確立して測定を行い,特定の入射条件に対する散乱角度分布という詳細機構は既存の装置による分子線散乱実験を実施し,実験データを蓄積する.そして,分子動力学法による数値解析を援用して「統計的」と「詳細」の両極端な実験結果を補完し,流体‐壁面間相互作用の相補的な解明を試みる.特にエネルギー適応係数を支配している因子を明らかにする. まず,エネルギー適応係数測定においては,真空下の熱伝導からエネルギー適応係数を測定するLow Pressure法に,ヒーターによる固体試料の加熱という新しい手法を導入することで手法の開発を行った.その際には,得られたデータの解析が容易になるよう,対称性の良いことに着目して実験系の設計を行った.そして,実験系の構築を実施した. 次に,既存の分子線散乱実験装置の精度の検証を行った.まず装置の再構築を実施し,超高真空の到達度の確認を行い,問題なく超高真空を維持できることを確認した.その後,分子線を固体試料に照射せずに直接検出することにより,検出器の性能及び飛行時間分布の分解能の確認,入射分子線の状態の検証を行い,従来と同等の飛行速度が得られており,分解能としても十分であることを確認した.しかし,分子線の速度のばらつきが従来よりも若干大きくなっており,散乱実験をするには不十分であることが想定されたため,改善を実施している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分子線散乱実験における速度のばらつきが十分小さくない理由として,分子線源におけるポンプの排気速度やオリフィスとスキマーの位置関係などが想定されるが,装置内を大気圧に戻して設定を試行錯誤することにより改善するしか手段がない.そのため,装置を真空にする時間も含めると時間がかかるため,多少の計画の遅れがみられる.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,遅れがみられている分子線散乱実験における対策に注力する.そして,固体試料としてグラファイトを用い,試料気体にはヘリウムを用いた分子線散乱実験を行う.ヘリウムは非常に小さく軽い分子であるために強い鏡面反射を示すことが知られており,特に測定が容易である条件を選択して実施する.一方,エネルギー適応係数測定実験の装置では,その間により良いヒーターとするために新規ヒータの作成を実施する.まずは金属材料の白金を用いて測定を実施し,従来の結果と比較検討することにより,新しい手法の妥当性を検証する.また,算出されるエネルギー適応係数の精度についても検証を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
特にエネルギー適応係数測定実験で用いるヒーターは既製品ではなく適切に設計されたものが望ましいため,次年度は得られた知見を活かし,より良いヒーターへと変更する.そのため,研究費を繰り越して次年度の研究費と合わせることで,さらなる改良ができるようにする.
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