2012 Fiscal Year Annual Research Report
海表面への雨滴衝突により引き起こされる水面波の波高減衰現象の解明
Project/Area Number |
23760157
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高垣 直尚 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00554221)
|
Keywords | 風波 / 降雨 / 運動量輸送 |
Research Abstract |
大気と海洋との間での運動量やスカラ(熱および物質)の輸送量を正確に評価することは,地球温暖化を予測するうえで非常に重要である.近年,大気・海洋間のスカラ輸送量を正確に評価するためには雨滴(降雨)の海表面への衝突により生成される乱流渦の影響を考慮することが重要であると指摘されているが,このような雨滴衝突の効果は未だ明らかにされていない.そこで,本研究では,雨滴の海表面への衝突により生成される乱流の構造,および,水面波が雨滴衝突により抑制される波高減衰現象を明らかにすることを目的としている. 今年度は,新規に購入したカラーの高速度カメラを用いて,雨滴衝突時の液側界面近傍の流動構造の可視化を行った.可視化実験においては,全長4mの降雨装置を用い,降雨中での気流流速測定技術および水位調整技術を使用した.可視化のための撮影は,風速0m/s,3.6m/sおよび11m/sの場合に,水槽側面および底面から行った.その結果,風波の有無に依らず,また風速の速さに依らず,雨滴の風波気液界面への衝突により液側界面近傍には雨滴衝突に特有の下降流が生じることを確認した.また,低風速時(3.6m/s)の時には雨滴の界面衝突により波高減衰が起こっているにもかかわらず,下降流が生じていることも確認した.これは,風が吹いている場合であっても,雨滴衝突により気液界面を通しての物質移動は降雨により促進される可能性を示唆している. また,同降雨装置を用いて,波高減衰現象の発生条件について検証した.雨が降り,風が吹く状態における水位変動および気流流速を測定した.その結果,波高減衰が起こるか否かは風速よりもむしろ風波の大きさ(高さ)に強く依存することを明らかにした.
|
Research Products
(5 results)