2012 Fiscal Year Annual Research Report
磁気機能性ナノ流体による流動・伝熱同時コントロールに関する基礎研究
Project/Area Number |
23760162
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
本澤 政明 東京理科大学, 理工学部, 助教 (50516185)
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Keywords | 流体工学 / 磁気機能性ナノ流体 / 磁性流体 / UVP / 強制対流熱伝達 / 伝熱促進 |
Research Abstract |
本研究では,試験流体に磁気機能性ナノ流体を取り上げ,磁場による流動と伝熱の同時制御を目的とした基礎研究として,印加磁場下の磁気機能性ナノ流体の流動特性と伝熱特性の変化を併せて計測した。実施計画に基づき,層流,乱流の流動下において,一様磁場,非一様磁場の印加,磁場印加方向を変化させて次の事項を調べた。(1)熱伝達に及ぼす磁場の影響,(2)流動抵抗と伝熱の関係,(3)超音波流速分布測定装置(UVP)による流動計測と磁場の影響。この結果,下記のような成果が得られている。 (1) 熱伝達特性:層流下の一様磁場印加で得られていた伝熱促進は非一様磁場印加によりさらに大きく促進された。UVPによる流動計測により,一様磁場印加,非一様磁場印加では速度分布が異なっており,異なるメカニズムで伝熱促進が生じていることを指摘した。 (2) 流動抵抗と伝熱促進の関係:磁気機能性ナノ流体の流れに磁場を印加すると流動抵抗は増加してしまう。このため,伝熱促進と流動抵抗の増加を評価することが重要である。この結果,非一様磁場印加において,わずかではあるが流動抵抗の増加を上回る伝熱促進が得られた。さらに,研究は下面のみの加熱条件で行っており,この装置では流動抵抗の方が大きく評価されていることが示唆されるため,伝熱は抵抗増大以上に大きく促進されている可能性がある。 (3) 速度分布計測:UVP計測により,速度分布は一様磁場,非一様磁場を印加すると非常に複雑な変化をしていた。この速度分布の変化が伝熱現象に大きく影響を与えている。例えば,非一様磁場下で速度分布,磁気体積力からナビアストークスの式のパワーバランスの評価を行い伝熱促進現象を説明した。 以上のように,印加磁場下の流動抵抗と伝熱の定量的評価に加えて,速度分布計測による現象の説明をした例はこれまでに申請者の知る限りでは報告が無く,重要な成果である。
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