2012 Fiscal Year Annual Research Report
SAM界面の熱物質輸送特性に関わる諸要因の分子論的解析
Project/Area Number |
23760172
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊川 豪太 東北大学, 流体科学研究所, 講師 (90435644)
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Keywords | 分子動力学 / 熱工学 / 輸送特性 / 自己組織化単分子膜 |
Research Abstract |
自己組織化単分子膜(self-assembled monolayer, SAM)などの分子薄膜材料は,固体表面の修飾技術として広く研究が進んでいる.これらのデバイス応用を指向し,熱・物質などの輸送特性に関する研究を行うことを目的としている.ここでは,分子シミュレーションを用いて,SAMを介した熱物質輸送特性を明らかにする.特に,SAM,溶媒の分子種や環境条件など輸送特性に影響を与える諸要因について,その分子論的メカニズムを理論的・数値的に明確にすることを目標とする. 平成24年度ではSAM分子であるアルカンチオールの機能性末端に親水性を持つヒドロキシル基(-OH)を有する分子モデルを構築し,水溶媒との界面熱輸送特性を解析した.この結果を疎水性の末端を持つSAMと比較することで,溶媒との親和性の高い親水性末端では界面熱抵抗が極めて小さいことを明らかにした. 平成25年度ではアルカンチオールSAMを吸着させる基盤材料を変化させ,SAM自身の秩序構造や界面のラフネスを変化させて界面における熱輸送特性の違いを解析した.また吸着密度を変化させることでSAM分子の秩序構造を変え,分子スケール構造と界面熱抵抗の関連性について議論した. 結果として,SAMの吸着密度の低下に伴い,基盤-SAM界面およびSAM-溶媒界面ともラフネスが大きくなり,溶媒とSAMとの混合性が向上することがわかった.それに伴い界面における局所界面熱抵抗および固体基盤から溶媒界面にわたる総括的熱抵抗が小さくなることが明らかとなった. 以上の結果は,固体表面の物性,特に界面を介した輸送特性を分子修飾によって柔軟に制御できる可能性を示唆しており,今後のミクロスケールの熱流体デバイスの設計において,重要な基礎的知見を与えるものと考えている.
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Research Products
(2 results)