2011 Fiscal Year Research-status Report
壁乱流における伝熱促進と摩擦抵抗低減の最適非相似制御
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23760176
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 洋介 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30396783)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 伝熱促進 / 摩擦抵抗低減 / 最適制御理論 |
Research Abstract |
流動抵抗を抑えつつ,熱・物質伝達を促進することは,熱流体システムにおける共通課題であり,その実現はシステの高性能化,高効率化に大きく貢献する.本研究では,最も単純な熱流体システムとして,平行平板間の完全発達乱流場を対象として,流動抵抗となる壁面摩擦を低減しつつ,伝熱のみを飛躍的に増加させる非相似伝熱促進のための普遍的な制御指針を得ることを目的としている.特に,本年度は,運動量と伝熱の平均の輸送方程式が同形となる仮想的なシステムを考えて,制御理論に基づき壁面からの吹き出し・吸い込みの時空間分布を決定することで,非相似伝熱制御が可能であることを実証した.まず,計算負荷を低減することを目的として,準最適制御に基づき制御入力を決定することで,伝熱を3倍に増加させる一方,摩擦の増加を2倍に留めることに成功した.更に,最適化された制御入力は,一定速度で伝播する進行波の性質を有することを示した.その際,得られた制御入力と熱流動場との関係を詳細に解析することで,非相似伝熱制御の機構を明らかにした.準最適制御では極めて短い時間スケールの力学のみを考慮しているため,得られた入力モードは,長時間の制御対象区間における最適解であるとは限らない.そこで,有限の制御対象時間内のダイナミクスを考慮する最適制御計算を行った.この場合においても,準最適制御と同様の進行波入力が得られる一方,更なる制御効果の向上が見られた.また,異なる流動条件における最適化計算を通して,最適な進行波入力のスケーリングに関して,新たな知見が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は運動量と熱の平均の輸送方程式が同一となる系において,準最適制御理論,及び最適制御理論を適用し,対象となる流動条件を系統的に変化させることで,非相似伝熱制御における一般的な制御指針を得る事に成功した.また,最適化された制御入力と熱流動場を詳細に解析することにより,制御機構の解明も行った.以上より,申請時に計画した本年度の目的がほぼ達成することができたと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,理想的な系において,非相似伝熱促進制御が可能である事を世界に先駆けて実証することができた.次年度は,工学への応用を視野にしれて,より現実的な制御方法を開発する.その第一段階として,これまで壁面からの吹き出し・吸い込みを制御入力としたが,壁面の形状を最適化することにより,同様の効果を得る事を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
既に本プロジェクトにおいて,多くの新しい知見が得られているため,次年度はその内容を国際会議や学術論文において得られた知見を積極的に発表すると共に,当該分野の専門家との議論を継続する.そのための旅費や学会参加費用を支出する予定である.また,壁面変形の最適化においては,所属機関のスーパーコンピュータを利用した熱流動場の大規模数値シミュレーションを実施する必要があるので,その使用料を支出する予定である.
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Research Products
(4 results)