2012 Fiscal Year Annual Research Report
壁乱流における伝熱促進と摩擦抵抗低減の最適非相似制御
Project/Area Number |
23760176
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 洋介 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (30396783)
|
Keywords | 対流 / 伝熱促進 / 抵抗低減 / 最適制御理論 |
Research Abstract |
熱流体機器の高効率化に向けて,圧力損失を抑制しつつ,熱・物質輸送を促進することは,基礎的、且つ重要な課題である.一方,運動量輸送とスカラー輸送の相似性の概念(レイノルズ相似則)は,多様なせん断乱流において,広く適用できることが経験的に知られている.この事実は,壁面摩擦とスカラー混合を独立に制御することの困難さを示している. 本研究では,最も基礎的な系として平行平板間完全発達乱流場を対象として,運動量とスカラー輸送方程式,及び壁面境界条件に立ち返り,数学的な観点から速度場とスカラー場の非相似性を生み出す因子を整理した.様々な非相似因子の中でも,速度場は連続の式を満たす一方,スカラー場にはその制約が無いという本質的な違いは,普遍的な制御指針を与えるものと期待される.本研究では,最適制御理論を応用し,上記の非相似因子を利用した制御則を提案し,数値計算により実証した. 具体的には,壁面からの吹き出し/吸い込みの時空間分布を最適化することにより,世界に先駆けて抵抗低減と伝熱促進の同時達成を実現した.更に,得られた最適制御分布は,流れ方向に伝播する進行波の様相を呈することを明らかにした.この知見に基づき,流れ場のセンシングを必要としない単純な開ループ制御則を提案した.また,異なるレイノルズ数における制御入力の最適化を行うことにより,最適進行波の波長,位相速度に関するスケーリングを明らかにした. 上記の研究では能動的に流れ場に制御を加えたが,実用的には受動制御によって同等の効果を得ることが望ましい.本研究では,定常の層流を対象とし,壁面形状を最適化することにより2次流れを誘起し,伝熱・圧力損失特性の向上を試みた.具体的には,以前に提案した斜交波状壁面を初期条件として,随伴解析に基づき壁面形状の最適化を行った.その結果,熱伝達率を維持しつつ,圧力損失を20%程度削減できる形状を得た.
|
Research Products
(9 results)