2012 Fiscal Year Research-status Report
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23760180
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
エイナルソン エリック ジー 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (00553603)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 色素増感型太陽電池 / ヘテロ接合型太陽電池 / 電気化学インピーダンス |
Research Abstract |
垂直配向単層CNTを色素増感太陽電池の対極として使用し,Pt対極太陽電池との性能を比較した.得られた電流電圧曲線から短絡電流と開放電圧およびフィルファクターはPt対極太陽電池に比べて少し低い値になり,結果として発電変換効率もPt対極太陽電池に及ばなかった.また、垂直配向単層CNTの膜厚を変えて太陽電池を作成したところ,太陽電池の性能は膜厚に大きく依存していることがわかり,膜厚が厚くなると発電変換効率が高いことがわかった.対称セルのインピーダンススペクトル解析により,CNT対極は高周波数領域と中・低周波数領域の両方にインピーダンスを持つことがわかった.一方で,蒸気処理により垂直配向単層CNTの構造を変化させることで接触抵抗の低減ができた. また,CNTの新たな太陽電池への応用としてシリコン基板表面にCNT膜をコーティングしたヘテロ接合型太陽電池の開発を行った.剥離した垂直配向単層CNT膜を表面に酸化層を持つシリコン基板に乗せ,さらに水蒸気処理を行った.この水蒸気処理によって,単層CNT膜のシート電気抵抗を低下させることができ,さらに比較的高い変換効率を示す太陽電池を形成することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単層カーホンナノチューブの合成技術開発や電気化学インピーダンススペクトル解析を進めることができ,また太陽電池の計測に必要な設備や技術を得ることもできた.現状としては当初の予定通りの研究進行状況だと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
垂直配向単層CNT対極太陽電池はPt対極太陽電池に匹敵する代替材料としての可能性を持っていることがわかった.さらなる発電変換効率の向上のためには,単層CNTの膜厚を厚くし,かつ,露出したフッ素ドープ酸化スズ(Fluorine tin oxide, FTO)面の面積を低下させると同時に,接触性を高める必要がある.また,単層CNT対極が持つ,中・低周波数領域のインピーダンスを低減する必要もある.問題解決のために,色素増感太陽電池の対極として最適な単層CNTのモフォロジーを作成し,単層CNTメッキによるFTO面との接触性の向上させることなどが有効なのではないかと考えられる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の計画として,蒸気処理により垂直配向単層CNTの構造を変化させることで接触抵抗の低減がわかったことを踏まえ,この蒸気処理したCNT膜の電気特性の構造依存性を調べ,接触抵抗の減少を目指し色素増感太陽電池への応用を進める.また電気気伝導性自体が改善された場合はp-n接合型太陽電池への応用も検討する.
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