2012 Fiscal Year Annual Research Report
異元素置換・欠損導入による固体高分子形燃料電池カソード用金属酸化物触媒の高性能化
Project/Area Number |
23760185
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
千坂 光陽 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (20513310)
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / 非白金触媒 / 酸素還元反応 / 金属酸窒化物 / BCN |
Research Abstract |
本年度は、固体高分子形燃料電池(PEMFC)カソード触媒として、研究代表者らが近年開発したハフニウム酸窒化物担持カーボン(HfOxNy-C)の高性能化を目的として、Hfサイトへの異元素置換に注力した。研究計画に基づき多数の元素をスクリーニングした結果、特にZrとTiをHfサイトへ置換した際に活性が向上することを見出した。Zrを置換導入する際には組成を、Tiを置換導入する際には開始材料と担体への担持量をパラメータとして、これらが結晶構造と活性に与える影響を重点的に探索・解明した。得られた主な知見は下記の二点である。 ・Zrを置換導入する場合、モル比をHf:Zr=1:1とすれば、酸化物の結晶構造が単斜晶から正方晶に変化し、活性が向上した。Hf:Zr=3:7もしくはHf:Zr=7:3とした場合には単斜晶となり、活性が低いことから、単一金属の酸化物ではなく、HfとZrが複合化した正方晶を有する酸化物の表面に活性点が発現したと考えられる。 ・Tiを置換導入する場合、塩化物系およびアルコキシド系いずれの開始材料を用いても、カーボン担体への担持量を低減することで、複合酸化物である斜方晶HfTiO4相が合成され、活性が向上した。本触媒の最適窒化温度は1223Kである。 また、研究計画には含まれていなかったものの、・アンモニア雰囲気での熱処理に対するカーボン担体の高耐久化 ・PEMFCカソード触媒としてのチタン酸窒化物担持カーボンの合成 を追加して実施した。前者に関してはホウ素と窒素を予め非活性雰囲気下で担体に置換導入することで、アンモニア雰囲気での気化率を低減させたのみならず、白金触媒の酸素還元反応開始電位に対し9割を超える性能が得られた。後者に関しては非アンモニア雰囲気で酸素サイトへ窒素原子を置換導入することに成功し、今後はより安価で環境への負荷が小さい合成方法として利用されることが期待される。
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