2011 Fiscal Year Research-status Report
水素生成を目的とした小型水蒸気改質器における総合技術
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23760186
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齋藤 元浩 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90314236)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 燃料改質 / ジメチルエーテル / 触媒燃焼 / 水素生成 / 熱管理 |
Research Abstract |
水素を生成する化学反応からなる水蒸気改質に関して,それぞれの反応に相応しい触媒が矢継ぎ早に開発されており,化学工学という観点からは,実用化が近いと感じさせる.しかしながら,特に小型の改質器を実現する上においては,温度コントロールが困難である上に熱損失も大きく,「熱管理」という課題をクリアできなければ,実機として完成させることはできない.また,改質される燃料や水蒸気をいかに反応部に供給するか,という問題もある.本研究では,機械工学や熱工学から使える技術を動員して,小型水蒸気改質器の実用化を一歩進めることを目的とする. 本年度においては,研究の柱のうちのひとつである「DME水蒸気改質の温度レベルの引き下げ」についての実験から研究を開始した.DME加水分解とそれによって生成したメタノール水蒸気改質という逐次反応からなるDME水蒸気改質の各反応,および総括反応の反応速度を算出した.DMEおよびメタノールの水蒸気改質は,所定の温度に設定した電気炉に触媒を充填した管を設置して実験を行った.生成ガスの濃度をガスクロマトグラフで測定することにより,反応速度をべき乗の形で表している.また,DME加水分解だけを起こす触媒を用いて、加水分解のみの反応速度を抽出して算出した. その結果、加水分解触媒としてゼオライトを用いれ,反応速度が後段のメタノール水蒸気改質と同程度になるということが明らかとなった.また、得られた反応速度式を用いて,触媒を物理混合せずに配置し、それぞれに温度制御を施した場合に相当する数値計算を行った.また,触媒燃焼についても触媒を担持した円管における実験により反応速度を求め、数値計算へ適用する準備をした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のひとつの目標は,水蒸気改質反応の吸熱と触媒燃焼による発熱のマッチングによる反応器の最適設計である.そのためには,水蒸気改質反応と触媒燃焼の双方の反応速度に関する知見が必須であり,まずはそのデータを取得することができた.なお,触媒燃焼の触媒は流路に充填するのではなく,壁面担持することを想定しているため,実際に実験した上で,熱流動場を考慮した上で求める必要があった.また,陽的には結果は出てきていないが数値計算の準備も進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は改質反応の吸熱と触媒燃焼による発熱のマッチングを目的とした,数値計算を中心に進める.改質器は,DME水蒸気改質を行う外側流路,触媒燃焼を行う内側流路からなる二重管構造をしていると想定する.DME水蒸気改質の流路に用いる反応速度は,初年度の実験によって得られた結果を用いる.また,触媒燃焼側も同様であるが,別の手段として水素・空気予混合気の素反応計算も行う予定である.流量や流路径,触媒量やその活性がパラメータとなりうる.「高い改質率」「低い一酸化炭素濃度」「少ない触媒燃焼への投入燃料量」を目的として,設計を行うことになる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は当初からの予算である130万円と,初年度からの繰越である約129万5千円を使用する.初年度から継続して反応速度を求めるための実験において反応物やガスクロマトグラフの消耗品のために使う.また,数値計算により最適化した改質器を模擬して自作するために用いる.
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