2012 Fiscal Year Annual Research Report
細管内におけるボルテックス・バースティング現象に関する基礎的研究
Project/Area Number |
23760187
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
下栗 大右 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40432687)
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Keywords | 渦流 / 火炎伝播限界 / 可燃限界 / 消炎直径 |
Research Abstract |
本研究では,細管内に形成された渦流中を伝播する火炎を対象に,伝播限界に対する細管内径,および混合気の熱・輸送物性の影響を定量的に調べ,伝播発生・伝播限界のメカニズムについて詳細な検討を行った. 始めに,一般的な燃焼特性が明らかにされているメタン空気,およびプロパン空気で実験を行った.結果,通常では3.2mmで火炎伝播が不能とされているのに対して(この最小の管内径を消炎直径と呼ぶ),渦流を用いれば内径2.4mmの管まで火炎伝播が可能となることを明らかにした. さらに,空気力学的条件を固定した上で,空気中の窒素をアルゴン,ヘリウム,炭酸ガスで置き換えて,混合気の熱・輸送物性を変化させて火炎の伝播限界を測定した.結果,窒素,アルゴン希釈の過濃側,および炭酸ガス希釈の希薄・過濃側において,通常の火炎伝播限界である「可燃限界」を大幅に超えて火炎が伝播可能であることを明らかにした.また,この実験において,伝播火炎の形状が全く異なることが観測されたことから,1.火炎の幾何形状,および2.空間的な燃焼強度の分布に注目して解析を行った.結果,1.細い火炎ほど伝播限界が拡大していること,さらに,火炎太さは可燃性混合気の燃焼速度とほぼ比例関係にあることを明らかにした.さらに,2.可燃性混合気の熱拡散係数と物質拡散係数の比であるルイス数が1より小さい場合,火炎先端の燃焼強度が強められること,一方でルイス数が1より大きい場合,火炎先端の燃焼強度が弱められることを明らかにした. 以上,本研究では,渦流中では通常の火炎伝播の限界値である消炎直径,および可燃限界を超えて火炎が伝播可能であることを明らかにし,さらには,そのメカニズム,すなわち燃焼速度が低く,ルイス数が1より小さいような場合,細い火炎が形成される上,火炎先端の燃焼強度が強められ,渦流によって火炎伝播が促進されることを明らかにした.
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Research Products
(5 results)