2012 Fiscal Year Annual Research Report
充填層粒子への単層カーボンナノチューブ直接合成による有効熱伝導率の向上
Project/Area Number |
23760188
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
井上 修平 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60379899)
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Keywords | 充填層 / 伝熱特性 |
Research Abstract |
気相化学蒸着法により充填層を模擬したアルミナからなる充填粒子に直接単層カーボンナノチューブを合成し充填層の有効熱伝導率がどの程度改善するかを測定し、相関式を得ることができた。 合成した試料をラマン分光により確認すると純度を表すG/D比が最適な条件に比べてかなり小さいことが分かった。これは充填層を模擬した粒子径の大きさが実際の水素吸蔵合金の大きさに合わせられているため単層カーボンナノチューブの合成に関しては最適な条件から大きく外れていることが原因であると考えられる。しかしながら充填層の空隙に対してわずか7 vol.%のCNTにより有効熱伝導率が0.83 W/mKと向上した。これはCNTを合成していない純アルミナ充填層の0.28 W/mKに比べるとおよそ3倍の値であり本技術の将来性を示唆する形となった。また有効熱伝導率の推算式であるKunii-Smithの式によると本アルミナ充填層の有効熱伝導率は0.29 W/mKであることから精度良く測定できていると考えられる。 本結果から有効熱伝導率の向上メカニズムを考察すると、一次元的な熱伝導では熱抵抗が高々93%にしか減少しないことから説明することができない。つまりCNTの合成量が増加してくると部分的にCNTのエリアがつながりバイパスを形成することが予測される。その結果、わずか7 %のCNTにより熱抵抗が33%まで減少していると考えられる。これらの結果からモデル化すると、CNTの合成量が少ないときはほとんど変化が無く、ある量を閾値に大きく有効熱伝導率が上昇するというステップ関数的なモデルで説明することが妥当であると考えられる。測定値を元に相関式を作成したところCNTの合成量が20%になれば充填層の有効熱伝導率が10倍になり水素吸蔵合金を採用した燃料電池車が実用的に要求される水素の吸蔵速度を満たすことが分かった。
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Research Products
(4 results)