2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23760190
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中島 裕典 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70432862)
|
Keywords | 電流分布 / 固体酸化物形燃料電池 / 温度分布 |
Research Abstract |
固体酸化物形燃料電池(SOFC)単セル内では,燃料や酸素の消費によって,これらの濃度が不均一となり,電流分布が生じる.これにより発電が有効に行われない部分が生じたり,温度分布の発生により熱応力に伴うセルの機械的劣化が進行する問題がある.そこで本研究では,単セルの表面温度を計測し,熱伝導方程式に基づいて,セル各部の発電による熱の流入流出から,セル内電流分布要因を明確にすることを目的としている. SOFCとして,電解質薄膜化や高導電率の支持体による内部抵抗低減の観点から注目されている燃料極支持型の,円筒形マイクロSOFCを作製した.Ni/8YSZ燃料極支持体を製作し,これを8YSZスラリーでディップコーティングした後,共焼結を行った.さらに空気極としてLSMスラリーを塗布し焼成した.このセルについて,水素ガスおよび空気を供給し,800℃で電流電圧(IV)特性を評価したところ,発電電流を取り出すことができた.開回路電圧(OCV)の低下が見られたため,セルの保持治具の設計変更を行い,ガスリークを低減して,OCVを上昇させた.熱電対をこのセルの空気極表面3か所に設置し,発電中の各部温度を計測することができた.この温度に対し,IV特性から得た過電圧と発電に伴う可逆的エントロピー変化による発熱量を熱伝導方程式に代入して得た温度を比較し,電流分布を求めることができた.その結果,燃料消費により水素分圧が低下して,ガス供給の下流方向に向かって減少する電流分布が得られた.さらに,空気極を3分割したセルを作製し,各部セル電圧が等しくなるように電子負荷器を設定しながら,種々のセル電圧において各部の電流を観測した.その結果,温度計測から得られた電流分布と同様に,ガス供給の下流方向に向かって電流が減少することがわかった.以上から,温度計測による電流分布計測解析手法の妥当性が示され,その確立ができた.
|
Research Products
(1 results)