2011 Fiscal Year Research-status Report
MEMS技術を用いたマイクロチャネル内沸騰流の圧力分布と気泡動的挙動の同時計測
Project/Area Number |
23760194
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
丹下 学 芝浦工業大学, 工学部, 助教 (70549584)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 沸騰熱伝達 / マイクロチャネル / MEMS加工 / 圧力センサ |
Research Abstract |
本研究は,マイクロチャネル内流動沸騰の気泡充満と圧力損失との関係を研究対象とし,圧力分布を測定できるマイクロチャネルを作製し,気泡形状の動的挙動との同時計測を行う.流動沸騰と不可分な壁面温度変化は圧力センサ信号に大きな影響を与えるものと予想されるため,まず,水ー空気系において気泡が圧力降下に与える影響を研究する.東日本大震災による装置破損の影響で,当初予定していた都立産業技術研究センターでのMEMS加工ができなくなり,薄膜抵抗体をスパッタリングすることでダイアフラムの変形を検出するひずみゲージの作成が不可能となった.そのため,数千万円相当の実験装置と同様の工程(製膜・露光・エッチング)を低予算で実験室レベルで行うこととなった.新装置の設計・制作の結果,マイクロチャネルの製作系を構築することはできた.送液系も構築し,気液の流量割合を変えた実験が行えるようになった.高速カメラによって気液二相流の観察,とくに気泡の動的挙動の定量的評価ができることも確認した.全体の差圧を測る設定も行った.また,ダイアフラム以外の圧力測定原理として,金属粉を樹脂に添加しピエゾ抵抗効果によって圧力を検出する素材を作成し,応力による抵抗値変化を確認した.今年度は金属粉入りの樹脂をできるだけ薄くするとともに,圧力による抵抗値変化の割合を大きくする工夫をした上でマイクロチャネル内に組み込み,まずは等温系の二相流による圧力損失の計測を行うこととする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災の影響で,利用を予定していた都立産業技術研究センターでのMEMS加工装置が破損した.そのため,研究計画を遂行するのに必要な工程(薄膜抵抗体をスパッタリングすることでダイアフラムの変形を検出するひずみゲージの作成)が不可能となった.そのため,別の手段によって研究目的を達成する方法を模索した.マクロチャネル系の構築・応力を関知する樹脂の製作までは成功しているが,マイクロチャネルへの組み込みと圧力と信号のキャリブレーションは行えていない.
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Strategy for Future Research Activity |
*信頼性のある実験系の構築:紫外線硬化樹脂を用いたチャネル作成のため,樹脂を平坦に塗布するスピンコーターおよび紫外線を拡散光から平行光にする露光装置を構築する.設計は終了しており,部品を調達後すぐに組立てチャネル作成に用いていく.*金属粉PDMS圧力センサの薄型化:新たに作るスピンコーターによって金属粉PDMS圧力センサを100ミクロン程度に成型することができるため,これによって金属粉PDMS(圧力を感知する抵抗体)をチャネルに組み込むことができる.*圧力と抵抗体の抵抗値との関係を求める:静圧でのキャリブレーションと単相流(圧力勾配が一定)でのキャリブレーションによって金属粉PDMSの抵抗値と圧力の関係を求める.*その他,都立産業技術研究センターの復旧状態によっては,先進の加工施設を使ってより正確な実験系を製作できるものと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(H23年度予算を使い残した経緯:東日本大震災の影響で,MEMS加工施設が使用不可となり,同じ研究目的の元で,異なる手法を用いることとなった.そのため,予算計画に示されていたSOIウェハが不要となった.また,顕微鏡に使用予定であった予算の一部を,他の実験システムに割り振っている.)*安価な露光機システムの構築:紫外線ランプ,マスク固定装置,平行光を作るためのレンズ系*安価なスピンコーターの構築:回転数制御機能付きのDCモーターおよび安定化電源.(チャネルの実験系については,昨年度中に構築できているため,消耗品である素材や試験流体の購入が主となる)*その他,論文投稿料・英文校閲料などに当てる.
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