2011 Fiscal Year Research-status Report
ナノ・マイクロ構造伝熱面によるSiCセラミックスの伝熱促進技術の開発
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23760196
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
野口 弘喜 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力水素・熱利用研究センター, 研究員 (00414532)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ナノ / 伝熱促進 / SiC / カーボンナノチューブ / マイクロ |
Research Abstract |
ナノ・マイクロサイズの微細な凹凸を有する多孔体を施した伝熱面(ナノ・マイクロ構造伝熱面)は、流動抵抗を増加させずに伝熱性能を向上させる革新的な伝熱促進技術として注目されている。しかし、従来のナノ・マイクロ構造伝熱面の創生技術を高温かつ腐食環境で使用されるSiCセラミックスへ適用した場合、母材と多孔体の熱膨張差による割れ、剥離や高温環境での多孔体微細構造の劣化が生じる。本研究では、SiCに適用できる新規ナノ・マイクロ構造伝熱面創成技術を開発することを目的として、SiC表面にカーボンナノチューブ(CNT)を形成できるSiC表面分解法による創生方法(ナノ構造伝熱面)とSiCの多孔体と緻密体を接合した複合材(マイクロ構造伝熱面)による創生方法を用いてナノ・マイクロ構造伝熱面を試作し、その伝熱促進効果を評価する。今年度は、SiC表面分解法を用いてCNTによるナノ構造伝熱面を試作し、表面状態の解析、加熱試験、水を冷媒とした平板体系の対流伝熱試験を実施した。 常圧焼結SiCとCVD-SiCの2種類の基材に対して、SiC表面分解法を用いて表面にCNTを形成したナノ構造伝熱面を試作し、FE-SEMにより表面状態の解析を行った。常圧焼結SiCでは一部でCNTの生成を観察できたが、全体に均一なCNT層は観察できなかった。CVD-SiCでは伝熱面に対して垂直方向に配列したCNTの生成が観察でき、ナノオーダーの構造を有する伝熱面を製作することができた。加熱試験では、いずれの試験片でも400℃までCNTが存在することを確認した。対流伝熱試験では、常圧焼結SiCとCVD-SiCのいずれの試験片においてもCNTによるナノ構造伝熱面の伝熱促進効果は確認できなかった。 次年度に実験方法・条件等を再検討し、実験結果の検証を行うとともに、マイクロ構造伝熱面を有する複合材を製作し、その伝熱促進効果を評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りに、平成23年度にSiC表面分解法を用いたCNT伝熱面を試作し、その伝熱特性を評価することができた。残念ながら、CNTによるナノ・マイクロ構造伝熱面による伝熱促進効果は確認できなかったが、平成24年度に実験方法・条件等を見直し、実験結果の検証を行う。また、平成24年度には、多孔体と緻密体を接合した伝熱試験片の製作を予定しており、すでに製作に関する検討は終了しており、すぐに開始することができる。以上より、ほぼ順調に進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
CNTによるナノ・マイクロ構造伝熱面による伝熱促進効果は確認できなかったため、平成24年度に実験方法・条件等を見直して再実験を行い、伝熱促進効果の有無を再検証する。また、多孔体と緻密体を接合した伝熱試験片を製作し、表面分析、高温安定性評価、対流熱伝達試験による伝熱促進効果の評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
100μm程度の気孔を有するSiC多孔体とSiC緻密体を接合した試験片(伝熱試験用1枚、表面観察用1枚)とSiC緻密体同士を接合した試験片(伝熱試験用1枚)を試作する。それら以外に、実験に必要となる白金測温抵抗体、シリコンオイル等の消耗品を購入する。また、研究成果の公表及び専門家との意見交換を行うために学会発表を行う予定である。
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