2012 Fiscal Year Annual Research Report
音波と電磁波を用いた気体の複数物性同時計測装置の開発
Project/Area Number |
23760198
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
狩野 祐也 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究員 (90510040)
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Keywords | 音速 / 誘電率 / 粘性 / 熱伝導率 / 音波 / 電磁波 / 共鳴 / 気体 |
Research Abstract |
無酸素銅製の内径24mm、長さ50mmの円筒型キャビティを製作し、音波および電磁波共鳴測定システムを構築した。音波共鳴測定用としてコンデンサ型マイクロホンを用い、円筒型キャビティ両端のフランジ中心部にキャビティ内壁と同一面となるように取り付けた。また、電磁波共鳴測定用として銅製セミリジッドケーブルを加工したアンテナを用い、フランジ中心部から8mmほどずらした所にキャビティ内壁と同一面となるように取り付けた。音波共鳴は周波数1~30kHzの範囲で周波数応答アナライザにより測定し、電磁波共鳴は周波数1~20GHzの範囲でネットワークアナライザにより測定した。それぞれの振幅・位相差のベクトルデータを理論共鳴曲線に非線形フィッティングすることで、音波および電磁波の共鳴周波数とQ値を求めた。 測定装置の健全性確認のため、物性がよく知られているアルゴンを用いて予備実験を行った。温度範囲は15~35℃、圧力範囲は0~500kPaで測定を行った。真空状態での電磁波共鳴測定の結果から、各温度における円筒型キャビティの内径および長さを求めた。サンプルを充填して測定された音波共鳴周波数から音速を、電磁波共鳴周波数から誘電率をそれぞれ求めた。得られた測定結果と従来の報告値を比較したところ、音速について0.02%、誘電率について0.001%以内で良好に一致した。 さらに、異なる音波共鳴モードのQ値の測定から、粘性および熱伝導率の導出を試みた。しかし、モード間でのQ値の測定値のばらつきが予想以上に大きく、精度の高い輸送性質の導出は困難であった。これは、キャビティの振動など予測困難な音波エネルギーロスに起因しているものと考えられる。比較的ばらつきの小さい特定のモードのみを用いて粘性および熱伝導率を求めたところ、10%以内で従来の報告値と一致する結果が得られた。
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