2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23760207
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
原田 祐志 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00456691)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 非線形振動 / ロータダイナミクス / 制振 / 発電用風車 |
Research Abstract |
平成23年度には,発電用風車の振動解析,および風車タワーの制振に関する研究を行った.(1)風車の振動解析では,二枚翼風車を考え,翼を風車の回転軸に剛に取り付け,風車タワーとの連成を考慮したモデル化を行い,系の振動数方程式を近似的に求め,固有振動数を計算し,以下の結果を得た.(a)二枚翼の慣性モーメントの非対称性に起因する係数励振作用により不安定振動が発生する.(b)不安定振動の主成分が翼の回転速度と同じである1モードタイプ,および主成分が翼の回転速度のからずれて発生する2モードタイプの2種類の不安定領域が存在する.(c)系のパラメータの値に依存して,不安定領域の位置と幅は変化する. (2)風車タワーの制振では,風車タワーを質量・ばね・ダッシュポットで近似し,剛体翼が回転軸に回転ばねで支持されたモデルに,翼に高さに依存して風圧が線形に変化する風が作用する系を考え,制振装置として動吸振器,および液体ダンパーを用いた.この系の運動方程式を導き,風車の固有振動数を解析的の求め,数値シミュレーションにより共振曲線および定常波形を求め,以下の結果を得た.(a) 翼の静不釣合いに起因して,タワーの風向き方向,および風向きに対して垂直な方向に,翼の回転速度と同じ振動数で共振が起こる.(b)タワーが翼によって励振されることにより,タワーの水平二方向に振動の共振が起こり,翼には翼の係数励振作用により不安定振動が発生する.(c)翼には翼の係数励振作用と風圧による強制外力との相乗効果により,回転速度の整数倍の振動数で共振が起こる.(d)動吸振器,液体容器を用いることにより,風車のタワーに発生する振動のうち,複数の共振ピーク同時に抑えることが可能である. (1)(2)の結果は振動の発生しにくい風車の設計,風車の回転角速度の調整,および風車タワーの振動抑制への応用が期待される.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では,発電機などが設置されているナセル質量を用いて動吸振器を設計し,発電用風車の制振を行う予定であったが,実際にモデル化を行い解析したところ,見込まれた制振効果が得られなかった.このため,より一般的な動吸振器に切り替え解析を行った.また,実験装置を作製し,解析結果との比較を行う予定であったが,実機の製作ができておらず,実機実験の結果と解析結果の比較が行えていない.一方で,風車の振動解析,計画には書いていなかった一般的な動吸振器による制振,24年度に計画していた液体ダンパーを用いた制振に関して研究を進めており,風車タワーが制振可能であるという結果が得られている.
|
Strategy for Future Research Activity |
まず,平成23年度に予定していた実機の作製を行う.現在,CADにより実機の概略図は完成している.しかし,実機の風車のパラメータの選定ができていない.そこで,風車の形状を変化させ,それぞれの場合において風車の振動解析を23年度に行った解析により振動特性を調べる.その結果をもとに,作製する風車のパラメータを決定し,風車を作製,実機実験を行う.また,23年度は簡単のため,モデルを線形化し制振解析を行ったが,より正確な解析を行うため,風車の翼が持つ非線形性を考慮した振動解析・制振を行う予定である.また,浮体式風車の制振解析を行っていく予定である.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・実機の作製:設計を行った実機を大学の学校工場に作製を依頼・アメリカで行われるASMEの国際会議に参加・浮体式風車の制振性能を確かめるため,小型の実験装置を作製
|