2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23760207
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
原田 祐志 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00456691)
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Keywords | 非線形振動 / 発電用風車 / 制振 / ロータダイナミクス |
Research Abstract |
平成24年度には,発電用風車の非線形振動解析,および洋上発電用風車の土台(海に浮かべた構造物)の制振に関する研究を行った. (1)風車の非線形振動解析において,二枚,および三枚翼風車を考え,翼を風車の回転軸に取り付け,風車タワーとの連成を考慮したモデル化を行い,固有振動数,および応答曲線を計算し,以下の結果を得た.(a)振曲線の形状は,翼の回転支持による復元モーメントの非線形性に起因して漸軟形となる.(b)翼の振動には,回転速度の整数倍の複数の振動数が含まれる.(c)翼の質量と寸法が同一の場合でも,翼の復元モーメントの非線形性に起因して,各翼が異なった振幅で振動する局在化現象が発生する.従って,翼の振動を監視する際には,すべての翼の振動を計測する必要がある. (2)洋上風力発電用風車の制振を目指し,ジャイロ利用して風車の土台である浮体構造物の制振解析を行った.浮体が液面から受ける浮力と減衰力をばねとダッシュポットに置き換え,波浪により正弦励振を受ける浮体にジャイロを取り付けた系を考え,固有振動数,応答曲線を計算し,以下の結果を得た.(a)浮体の鉛直方向の固有振動数は一定であるが,浮体のローリングとピッチング,およびジャイロの傾きに対する固有振動数は,ジャイロの回転速度に依存して,それぞれ増加,減少する.(b)ジャイロの設置パラメータの値を適切に選択することにより,制振効果を高めることができる.(c)二個のジャイロを浮体に取り付けることにより,浮体のロール角とピッチ角の振動を同時に抑制することができる. (1)の結果は風車に発生の可能性がある振動を明らかにしており,風車設計において考慮することで,故障の回避や制振装置の設計に生かすことができる.(2)の結果は,洋上発電用風車の波による振動の低減を行っており,洋上発電用風車のへ利用が期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
翼の制振効果を高めるため,非線形解析を行った結果,同一の翼を用いたにもかかわらず,翼の振動が異なる局在化現象が発生することが確認された.このため,風車の実験装置を作成する前に局在化現象について詳しく調べることが必要となった.さらに,浮体式洋上発電用風車に関しては,波を線形ばねによりモデル化したが,そのモデル化の妥当性に疑問を生じ,波や浮力の影響を新たにモデル化し,解析を行った.このため,実験装置の設計,製作に後れを生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,平成24年度に予定していた浮体構造物の実機の作製を行う.現在,実験機の設計を終え,実験機の発注を行っている段階である.さらに,実験環境を整えるため,波の発生装置などを設計・製作する予定である.学会でも発表を考えており,実験機ができ次第,実験を行うよう準備を整えている. 風車の設計についても,非線形モデルによる数値計算結果によりすべての翼の振動を測定する必要ができたため,測定方法を含めた,設計のやり直しを行い,早急に実験を行う予定である. また,24年度は非線形モデルを用いた数値計算により,振動特性や制振効果を調べたが,25年度は非線形モデルに対する近似解析を行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・洋上発電用浮体式風車の土台の作製,および測定装置,測定環境の整備 ・陸上発電用風車の作製,および測定装置,測定環境の整備 ・アメリカで行われるASMEの国際会議に参加
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