2012 Fiscal Year Research-status Report
多重壁構造におけるモードの局在化現象とその制御応用
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23760208
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
岩本 宏之 首都大学東京, システムデザイン研究科, 助教 (90404938)
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Keywords | 機械力学・制御 / 波動制御 |
Research Abstract |
近年,自動車や航空機などの構造物は燃費向上やコスト削減等を志向し,いっそうの軽量化がなされている.そのため,それら構造体の材質や筺体はより薄肉で高い柔軟性を有している.よって筺体内部,閉空間の音場と外壁の構造振動とが連成する構造音響連成場が形成される傾向にある.連成場の研究モデルとしては過去に,一面弾性壁キャビティ,二面弾性壁キャビティ等が用いられてきた.しかし,応用対象を建築物全体や大型車両等の複数構造空間,さらには,遮音効果を高める多層壁構造物などに広げる場合,従来モデルの理論展開では不十分である.そこで当該年度においては,複数構造空間の一例として,従来の一面弾性壁キャビティの繰り返し構造物である多重壁キャビティを研究モデルとして扱い,振動騒音制御手法を提案した.研究方法としては,まず,多重壁構造物に波動解析法の理論を確立するために,インピーダンスマッチングコントローラ設計で用いられるバネ‐マス‐ダンパ系の連続モデルを本研究で用いる繰り返し構造物である多重壁モデルに応用する方針をとった.さらに,当該モデルを対象として,波動論的観点からエネルギ封じ込め制御の確立を試みた.その結果,(1)外乱側の平板1枚に制御力を加え,評価対象側の空間のエネルギを抑制することで,多重壁構造物の音響放射パワーが抑制できる,(2)多重壁構造物の任意平板の平板速度と隣り合う空間の音圧を用いて,次の平板の平板速度と隣り合う空間の音圧を推定できる,(3)多重壁構造物に対して波動解析法の理論を導入し,外乱からのエネルギを多重壁構造物の平板の振動制御により抑制し,音響放射パワーを抑制できること(4)最大特異値を抑制することで多重壁構造物の音響放射パワーを抑制できることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多重壁構造における振動音響解析において波動論的観点からモデリングできた点,および,当該構造物における波動フィルタリング法を確立できた点は,当初の目的通りである.ただし,当該年度中に良好な実験結果が得られなかったため,今後も実験を続ける必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,中間層に存在する柔軟壁をスマートフィルムに置き換えることを考える.スマートフィルムとは,スマートセンサ・アクチュエータからなるフィルムのことで,当該センサ・アクチュエータを適切に設計すれば,本来必要な信号処理が不要となるものである.これにより,非常に軽量で簡素な遮音制御システムの構築が可能になると考えられる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度中に良好な実験結果が得られなかったため,研究期間を延長して,提案手法の実験実証を目指す予定である.したがって,実験関連の消耗品費に当てる.また,そこで得られた結果を発表するための学会参加費・旅費にも研究費を使用する.
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Research Products
(10 results)