2013 Fiscal Year Annual Research Report
多重壁構造におけるモードの局在化現象とその制御応用
Project/Area Number |
23760208
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
岩本 宏之 成蹊大学, 理工学部, 准教授 (90404938)
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Keywords | 局在化制御 / 波動制御 / 遮音制御 |
Research Abstract |
車内や屋内などが例にあげられる構造音響連成場では構造物の振動と空間の音響振動が相互影響する.駆動機やその他内外的要因の構造加振により空間内に音場が生じ,その音場による内部音圧が構造に外力として働く.結果,システム内でパワーのループが生まれ,構造単体や剛壁空間とは異なる特性に変化する.さらに多重壁構造の場合,これは繰り返し構造物の典型であり,ある条件下においては,一部の柔軟壁あるいは中間層においてエネルギが局在化する現象が発生する.本研究では,当該現象が振動・騒音抑制問題に有効である点に着目し,これを積極的に惹起することによって多重壁構造から発生する放射音の抑制を目的としている.今年度は前年度までに提案してきた制御手法の実験実証を計画していたが,代表者の所属研究機関の変更により実験の遂行が困難となったため,さらなる理論的検討に計画を変更した.具体的な内容は以下の2点である. (1)隣り合う柔軟壁において,それぞれの曲げ剛性に異方性を与えることによって,両者の連成を弱める手法を確立した.例えばある周波数において,1枚目の柔軟壁は(1,2)モードの共振ピークを,2枚目は(2,1)モードの共振ピークを持つように調整すれば,両者は連成しないため,透過音の抑制が可能となる. (2)柔軟壁の境界条件が非対象な場合,固有関数は柔軟壁を中心に対称・歪対称ではなくなり,従来のクラスタカップリングの概念を用いることが出来ない.そこで,非対象な固有関数をテイラー展開より偶数次要素と奇数次要素に分類し,後者が主なエネルギ伝達要素となることを明らかにした.さらに,当該要素は固有関数そのものではないため放射音に関する直交因子とはなり得ないが,制御点を柔軟壁の中央に設置することで,ほぼ独立に制御できることを数値解析により明らかにした.
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Research Products
(5 results)