2012 Fiscal Year Annual Research Report
ディスクブレーキのパッドの剛性がもつ非線形な力学特性に着目した鳴き低減対策の提案
Project/Area Number |
23760209
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
大浦 靖典 滋賀県立大学, 工学部, 助教 (60512770)
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Keywords | 振動解析・試験 / 自励振動 / ディスクブレーキ / 鳴き / ブレーキパッド / 静的な剛性 / 動的な剛性 / ヒステリシス |
Research Abstract |
自動車の制動に用いられるディスクブレーキは、ブレーキパッドの材料特性によって制動性能(効きの良さ)と静粛性(鳴きの有無)が変化する。一般的に、制動圧を加えたときのパッドの静的な変位量から求めた静的な剛性が大きいほど効きが良くなるとされる。また、振動時のパッドの動的な剛性が圧力に依存することが、制動時の騒音(鳴き)の原因となることが申請者等によって見出されている。鳴きが発生しにくいパッドを開発するためには、静的な剛性と動的な剛性の関係を明らかにする必要がある。 平成24年度は、前年度に開発したパッドの動的な剛性と静的な剛性の関係を測定できる装置の精度を検証し、パッド開発に実用できるよう改良を加えた。この装置は、まず、パッドをゆっくりと加圧し、各圧力での準静的な剛性を測定する。圧力が大きくなるほど、準静的な剛性は大きくなる。次に、ある圧力で、加圧から除圧に切り替える。加圧から除圧に移り変わった直後の剛性が大きくなり、変位-圧力特性がヒステリシスを示す。このときの剛性が、微少振幅で加振したときの動的な剛性に対応する。除圧を続けると剛性が低下し、やがて準静的な剛性に戻る。 本研究により、パッドを鳴き周波数で加振したときの動的な剛性が加振振幅に依存する現象が、ヒステリシス時の剛性が準静的な剛性に移り変わる現象に対応することが明らかになった。また、各圧力におけるヒステリシス時の剛性は、算出に用いる変位量を管理することで、その圧力での準静的な剛性の定数倍となることが見出された。 これらの実験結果に基づき、静的な剛性と動的な剛性の両方を考慮できる鳴き解析モデルを作成した。鳴き実験結果と解析結果を比較した結果、どちらか一方の剛性のみを用いた従来の解析モデルよりも、解析精度が向上することを確認した。また、パッドのヒステリシスを再現できる物理モデルを作成し、パッド開発への応用を検討中である。
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