2011 Fiscal Year Research-status Report
エネルギー回生アクティブ振動制御に適した制御器の開発
Project/Area Number |
23760210
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
中原 健志 九州産業大学, 工学部, 准教授 (00334516)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | モード制御 / ゲイン適応 / D級増幅器 |
Research Abstract |
1.制約条件を考慮した制御問題に関する従来の研究の調査:運動と振動の制御研究会に出席するなど文献調査を行った。その結果、調査した範囲では当初考えていたゲイン適応形のモード制御器よりも総合的かつ明確に優れた手法は無く、ゲイン適応形のモード制御器を対象に研究を進めることとした。2.D級増幅器の損失発生メカニズムの調査と損失モデルの作成:部品ごとの損失を測定およびモデル化して積み上げることで増幅器全体の損失モデルを作成する計画であったが、予想以上に損失の発生する要因が複雑で、見通しの良いモデルを得ることが困難と考えられるため、平成24年度以降に増幅器を試作して、電源電圧や入力信号の大きさなどのパラメータが損失に与える影響を測定し、その傾向からなるべく単純で見通しの良い簡易モデルを作成する方針に転換した。3.実験装置の設計:実験装置のうち、片持ち梁など構造および機械部分について設計を行い、手持ちの材料および部品を用いて一部を製作した。4.その他(平成24年度以降に計画した内容の一部):D級増幅器の損失を等価抵抗で表現した簡易モデルを対象として、ゲイン適応形モード制御器とコンデンサを電源とするD級増幅器を組み合わせることで、飽和およびエネルギー収支に関する制約条件を満たしながらフィードバックゲインを最大化する制御手法を提案し、シミュレーションにより基本的な有効性を確認した。この成果については平成24年10月の国際会議(MOVIC2012)で発表予定であり、その発表論文を平成23年度中に作成し投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
簡易モデルを対象とした限定的な成果ではあるが、本研究課題の目的である飽和およびエネルギー収支に関する制約条件を満たしながらフィードバックゲインを最大化する制御器を具体的に設計し、シミュレーションにより基本的な有効性を確認することができた。さらに国際会議の発表論文としてまとめ投稿した。制御器の設計とシミュレーションは当初計画では平成24年度以降に計画していた内容であり、この点については当初計画よりも進捗状況が進んでいるといえる。しかし、D級増幅器の損失発生メカニズムの調査と損失モデルの作成に関しては、予想以上に損失の発生する要因が複雑であったため、研究方針の変更が必要となり進捗状況が遅れており、従来の研究の調査についても必ずしも十分でなく継続的な調査が必要なことから、総合的には(2)と判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、D級増幅器の試作を行い損失の傾向を測定するとともに、平成23年度に製作した実験装置に組み込んで、ゲイン適応型モード制御器を用いた実験を行い有効性を検証する。また、平成23年度中に得られた成果を国際会議(MOVIC2012)などで発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に計画した内容のうち、D級増幅器の損失発生メカニズムの調査と損失モデルの作成における部品および試作回路の測定実験を研究実績の概要に述べた理由により行わなかったため、実験費用分が次年度使用となった。次年度使用となった研究費はD級増幅器の試作および実験のための費用として活用し、平成24年度に請求予定の研究費は国際会議(MOVIC2012)への参加など平成23年度中に得られた成果の公表を中心に活用する計画である。
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