2013 Fiscal Year Research-status Report
エネルギー回生アクティブ振動制御に適した制御器の開発
Project/Area Number |
23760210
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
中原 健志 九州産業大学, 工学部, 准教授 (00334516)
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Keywords | エネルギー回生アクティブ振動制御 / D級増幅器 / モデル予測制御 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、D級増幅器を用いたエネルギー回生アクティブ振動制御に適した制御器として、アクチュエータ等の飽和とエネルギー収支に関する制約条件の下で制振性能を最大化する制御器を開発することであり、平成25年度は制約条件下での最適制御手法として良く知られているモデル予測制御に基づいた制御器を提案し、1自由度系を対象とした数値シミュレーションにより基礎的な有効性を示した。 モデル予測制御では時間ステップ毎に制約付最適化問題を解いて制御入力を求めるため、飽和などの制約条件を積極的に取り扱うことができるメリットの反面で、従来の制御手法と比較して計算負荷が大きくなるデメリットがある。このデメリットはマイクロプロセッサの高速化に伴い小さくなり、計算処理時間の面では運動や振動の制御といった速いダイナミクスの問題にも十分に適用できる段階になっている。しかし、エネルギー回生振動制御への適用を考えると、高速なマイクロプロセッサの使用は制御器の消費電力を増大させ、制御系全体でのエネルギー効率の低下につながるため、消費電力の小さい低速なマイクロプロセッサにも実装できるような計算負荷の小さい手法が望まれる。 この点を踏まえて、一般的なモデル予測制御手法をそのまま適用するのではなく、制御入力を調和関数の線形和と仮定することにより大幅に計算負荷を低減する手法を提案して、1自由度系を対象としたシミュレーションを行いアクチュエータを飽和させることなく振動を抑制できることを示した。また、この提案手法ではエネルギー収支に関する制約の考慮に必要なアクチュエータの平均回生パワーの予測が容易に得られることも示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
所属機関の教育カリキュラム移行に伴い、平成25年度は新旧カリキュラムの双方の授業科目を担当したため、当初計画よりも教育活動へのエフォートが増大し、本研究課題へのエフォートを十分に確保することができなかった。そのため、制御入力を調和関数の線形和と仮定することにより大幅に計算負荷を低減したモデル予測制御手法を提案することはできたが、その検討が基礎的な1自由度系の数値シミュレーションにとどまっており、研究発表も査読なしの国内会議での発表1件のみであることを考慮し、「(4)遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に提案した制御入力として調和関数の線形和を仮定したモデル予測制御手法では、予測に外乱の影響を考慮していないため平均回生パワーの予測値が小さめになる傾向があり、平成26年度は外乱オブザーバを用いて外乱を考慮することで平均回生パワーの予測精度の向上を図る。また、一般的な多自由度系への拡張を行うとともに実験による検証も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果の発表の場として参加を計画していた2件の国内講演会が、平成25年度は所属機関を会場として合同開催されたために旅費が不要となり、当初見込みよりも旅費の額が小さくなった。また、所属機関の教育カリキュラム移行に伴い、平成25年度は新旧カリキュラムの双方の授業科目を担当したため、当初計画よりも教育活動へのエフォートが増大して本課題の遂行が遅れ、研究費が残り次年度使用となった。 次年度使用となった研究費は、国内会議1件と国際会議1件での発表のための旅費および参加登録費、論文投稿料、提案する制御手法の有効性を確認するための実験装置の製作費を中心に活用する計画である。
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Research Products
(1 results)