2012 Fiscal Year Annual Research Report
歴史的環境に対する低侵襲性を持つロボティック移動バリアフリー技術の確立
Project/Area Number |
23760213
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
菅原 雄介 国士舘大学, 理工学部, 講師 (60373031)
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Keywords | バリアフリー / ロボット工学 / 移動機構 / 移動支援 / 文化財 |
Research Abstract |
本研究では,古い木造建築や石畳の古道,国指定史跡内の遊歩道など,歴史的・文化的に価値を有する環境において,車いす利用者の円滑で快適な移動を,その環境の本来の形から大きく手を加えることなく実現する,「文化的環境に対する低侵襲性」を備えた移動バリアフリー技術の確立を最終目標とし,環境を改変することなく,環境に対して人間が通行する程度のダメージしか与えずに,階段や斜面を含む歴史的に本来の移動経路を自立して通行することのできる移動支援機器の開発を行うことを目的としている. 平成23年度は,申請者がこれまでに開発した複数車輪式形状可変型階段昇降機構の基本設計を基に,安全性に配慮し搭乗時の座面高さを低く抑えるため,重心位置の可動範囲を十分確保しながら座面の最大高さを低く抑える脚機構を開発した.並列駆動型平面2自由度マニピュレータの機構を応用した機構を提案し,昇降性能と自己干渉を制約条件として,座面の最大高さを目的関数としてそれぞれ定式化し,最急降下法を用いた最適化計算により設計変数を求め,これに基づき実際の脚機構を設計し,実験によりその有効性を確認した. 平成24年度は,自走式階段昇降機構の安全性確保のために階段昇降中の滑落・転落防止機構の検討と試作を行い,階段の手すりを把持しながら昇降するための手すり把持機構を開発し,実験によりその有効性を確認した.また駆動方式に関して新機構の提案・検討と試作を進め,人間の運動を動力源として用いる関節機構を提案し試作と制御系の開発を行い,実験によりその有効性を確認した.歴史的建造物の階段寸法の調査と整理に関しては,城跡4か所,寺院19カ所,神社10か所,その他2か所の史跡・歴史的観光地について,その階段寸法を調査し,そこから歴史的建造物への適応が可能な移動機構の機能的要求を考察した.
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