2012 Fiscal Year Research-status Report
軌道上無人輸送機の自律ドッキングハイブリッドシミュレーション
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23760214
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安孫子 聡子 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40560660)
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Keywords | ハイブリッドシミュレーション / 接触力学 / 閉空間把持 |
Research Abstract |
本研究の目的は,軌道上無人輸送機のドッキングや構造物組立等の軌道上サービスを対象とした微小重力下での浮遊物体同士の必然的な衝撃,および偶発的な衝突の際の安全性を考慮した自律ドッキング制御の確立を行うことである.同研究の検証には地上微小重力模擬環境であるハイブリッドシミュレータと空気浮上テストベッドを用いている. 平成24年度は,平成23年度に構築した計算コストの少ない柔軟物の接触力学モデルの拡張をめざした.平成23年度時点では,ワイヤの初期形状やめり込み量に対する反力の関係式を実験式により構築していた.平成24年度は,理論的数理モデルと実現象の整合性の検証を空気浮上テストベッドを用いて行った.数理モデルでは,ワイヤの初期形状がワイヤの全長とたるみ量から楕円積分によって理論的に導出できるに至った.ワイヤの力とめり込み量の関係式は,理論的な導出は非常に困難かつ現実的にな計算コストの少ない力学モデルを導出するまでには至らなかった.しかし,幅広いめり込み量やたわみ量の条件化において成立する実験式を導出することができた. 一方,ハイブリッドシミュレータでは,軌道上宇宙ロボットアームSSRMSによる無人宇宙ステーション補給機HTVの捕獲を対象として,スケールダウンした数理モデルの構築と実軌道データとの整合性を検証した.また,ハイブリッドシミュレータ特有の時間遅れによるシステムの不安定性と実現象の再現の困難さを克服する手法の構築を進めた. 今後は,開発したシステムをもとに物体を弾き飛ばさない自律閉空間把持を実現する手法の検討を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ハイブリッドシミュレータ特有の遅れ時間に対する問題の解決法に時間を有している。同問題は広く知られている問題であるが,実現象との整合性が取れた手法はこれまであまり検討されていないため,本研究で克服・解決すべきテーマの一つとなっている。その一方でシステム全体の構築は終了しているので,最終年度の目標に向けて,しっかりと進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本報告書提出現在において,ワイヤの数理モデルの構築は概ね良好である.また,ハイブリッドシミュレータの時間遅れによるシステムの不安定さという問題は,ワイヤとの接触現象においては接触周波数の領域を検証することで解決が可能であることが分かっている. 今後は,研究協力者であるJAXAロボティクスグループよりHTV捕獲のフライトデータの運動解析とハイブリッドシミュレータにて同様のタスク模擬を実行し,浮遊物体を弾き飛ばさない安全な閉空間把持を実現する自律ドッキングへとつながる基盤手法を提案する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用費は,ハイブリッドシミュレータそのものの信頼性を向上させる手法として,ハイブリッドモーションシミュレータと空気浮上テストベッドの2種類の微小重力模擬環境の結果を総合的に評価するシステム構築に利用する。そのために,比較・検証に生じる両者のシステムの改良が不可欠となるため,その機構開発に必要な経費として,平成24年度請求額と合わせて使用する予定である.
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