2011 Fiscal Year Research-status Report
マルチニードル型キャピラリを用いた液滴の自在変形によるマイクロマニピュレーション
Project/Area Number |
23760222
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
平田 慎之介 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (80550970)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | マイクロマニピュレータ / 表面張力 / 多自由度操作 / 微少液滴 |
Research Abstract |
(1) 直径510μmのステンレス管、その周囲に円筒状に配置された直径300μmのタングステン棒6本、それらのタングステン棒を直動させるアクチュエータなどを用いてマルチニードル型キャピラリを試作した。アクチュエータとして用いたマイクロリニアステッピングモータは、1パルスで0.24μmニードルを上下させることができる。またステンレス管にシリコンチューブ、マイクロシリンジを用いて精製水を送ることで、キャピラリ先端に微少液滴を形成することができる。(2) 試作したマルチニードル型キャピラリを用いて1005型チップ抵抗の把持実験を行い、液滴の表面張力によるチップ抵抗の傾斜動作、回転動作を検証した。まず長辺1mm、短辺0.5mmのチップ抵抗をキャピラリ端面の液滴で把持した状態で、キャピラリの端面を±60°の範囲で傾斜させた。把持されたチップ抵抗は、キャピラリ端面に追従し、±45°の範囲での傾斜動作が確認できた。次にキャピラリの端面を60°傾斜させた状態で、鉛直軸を中心にキャピラリの端面を回転させた。傾斜動作と同様に、45°傾斜したチップ抵抗の回転動作が確認できた。(3) 表面張力によるマニピュレーションにおいて、対象物を把持するピック動作は比較的容易に行うことができる。しかしながら、把持された対象物を離すプレース動作は非常に困難である。そこで対象物のピックアンドプレースを実現するため、表面張力による把持力を制御することができるマルチニードル型キャピラリを提案した。提案するキャピラリでは、マルチニードルを従来の円筒状ではなく、円錐状に配置する。するとニードルを上下させることでキャピラリ端面の面積を変化させることができる。キャピラリ端面の面積が変化すると、生成される液滴の大きさも同様に変化するため、表面張力による把持力を制御することができる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた計画のうち、「マルチニードル型キャピラリの試作、把持性能の評価」など約3分の2を達成している。さらに交付申請時より高度な研究テーマである「表面張力によるマニピュレーションでのピックアンドプレース動作の実現」において一定の進捗を得ているため、おおむね順調に進展していると評価することができる。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1) 把持力制御が可能なマルチニードル型キャピラリの試作を行い、キャピラリ端面の面積変化による把持力制御の評価を行う。そして表面張力による対象物のピックアンドプレース作業の実現を目指す。(2) 端面形状を高速で変形させることで対象物の高速な傾斜・回転動作が期待できる。しかし実際は端面形状に対する対象物の追従速度の限界や遅れが生じることが考えられる。そこで対象物の質量、液滴の容積・粘性などを変化させて、対象物の傾斜・回転動作における追従速度限界、遅れの有無などを実験的・解析的に計測する。(3) 対象物の姿勢・質量や液滴の容積・粘性が変化した場合、回転動作や傾斜動作における対象物の挙動が変化すると考えられる。そこで、対象物の挙動から実験的、解析的に対象物や液滴のパラメータを検出するセンサ機能を、マルチニードル型キャピラリに付加することによってマニピュレータの知能化を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の約1,800,000円は、物品費として約800,000円、旅費として約700,000円、その他として約300,000円使用する予定である。物品費では、マニピュレーションにおける動特性を解析するための数値計算用PC、実験機器制御用PC、アクチュエータなどその他の構造部品を購入する。成果発表は国内で3回、海外で2回予定しており、その旅費を支出する予定である。また学術論文誌への論文投稿、学会での参加講演費などをその他として支出する予定である。
|
Research Products
(4 results)