2011 Fiscal Year Research-status Report
マルチボディモデルに基づく多自由度ロボットの動作計画
Project/Area Number |
23760224
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田崎 勇一 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10547433)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 動作計画 / 多自由度ロボット / マルチボディ |
Research Abstract |
本年度は,マルチボディモデルの動作計画問題に対して,非凸性を有する問題への解法を検討した.動作計画問題が非凸性を持つ原因としては,ロボットの関節可動範囲の制約や,周辺物体との干渉回避がある.干渉回避には外部物体との衝突のみならずロボット自身との衝突(self-collision)も含まれる.非凸性を有する問題に本手法を適用した場合,最適化の初期値に依存して異なる局所最適解が得られ,これらは最悪の場合,計画仕様を満たさない.このため,最適解を得るには個々の動作計画問題に応じて適切な初期値を選ぶ必要がある.これに対し,最近傍学習にもとづいて初期値を自動的に選択する手法を検討した.その結果,初期値をランダムに選ぶ場合に比べて高い確率で計画仕様を満たす解を出力する動作計画器を構築することができた.第二に,スケジューリングを要する複数タスクの計画問題に取り組んだ.この問題ではロボットの有する自由度(=リソース)を,要求された複数のサブタスク(=ジョブ)に最適な順序で割り振る必要がある.そこで,各タスクの開始時刻と終了時刻を定数ではなく決定変数として扱うことで,軌道計画とタスクスケジューリングを同一の枠組みで実行可能とした.また,「タスクAとタスクBのいずれかを行う」といったタスクの論理演算を導入し,より複雑な仕様の動作計画問題を扱う手法を考案した.上述の枠組みを,双腕ロボットが複数の物体に向かって手先を移動させるリーチングタスクの計画に適用し,計算機環境上にてある程度の検証を行った.関連する対外発表:国内会議1件,査読付き国際会議1件
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度研究実施計画に記載したテーマに取り組むことができたため,おおむね計画通りに進捗していると言える.研究の過程で当初の想定した方向性を若干修正した部分もあるが,許容範囲である.
|
Strategy for Future Research Activity |
提案手法の実用性をロボットの実機を用いて検証する.実験環境としては市販のロボット用サーボモータを用いて簡易実験用ロボットを製作し,実験の便を優先して電源や計算機はロボットの外部に設ける.実機実験を通じ,計算時間制約や状態の部分観測性などの現実的問題への対処方法を検討する.また,本手法の大きな利点の一つは高い汎用性である(マルチボディモデルで表現可能な任意のロボットに適用可能).これを活かし,第三者が利用できるソフトウェアライブラリとして整備/公開する.また,インタラクティブな動作計画を実現するユーザインタフェースを開発し,そのユーザビリティを検討する.これは,常時動作計画アルゴリズムを実行しながらその時々刻々の結果を可視化し,ユーザからのアクション(変数や拘束の追加・削除,マウスドラッグによる物体の移動など)をリアルタイムに反映するものである.このユーザインタフェースを活用することで,提案手法の目下の弱点である「局所的な軌道の最適化は得意であるが大域的最適化は苦手」という性質をユーザが補うことができ,高精度かつ大域的最適な軌道を効率的に計画することが可能となると期待される.最後に,本研究の成果を学術論文としてまとめ投稿する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度交付額と平成23年度からの繰越額をあわせ下記のとおり経費の執行を計画している。実機検証用ロボット開発費,その他周辺装置: 900,000円成果発表用旅費: 300,000円論文掲載料: 100,000円その他: 200,000円
|