2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23760230
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
浦久保 孝光 神戸大学, その他の研究科, 助教 (10335424)
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Keywords | ロボティクス / 特異姿勢 |
Research Abstract |
2012年度は,2リンクロボットアーム実験機を用いた実験的検証および4リンク脚型ロボットに対する数値シミュレーション検証を通して,多リンクロボットにおける特異姿勢の動力学的性質の解明を進めた. 2リンクロボットアームによって重量物を引っ張る,持ち上げるという動作において,初期姿勢を特異姿勢付近とすることで,省トルクでの動作達成が可能であることを実験機によって実証した.実験機の持つ関節部などでの摩擦の下でも,さらにモデル化誤差による手先追従誤差を抑えるためのフィードバック制御の下でも,特異姿勢の動力学的な有用性が確認されたことは,実用的にも特異姿勢を用いる利点があることを示しており,本研究の大きな工学的成果である. 4リンク脚型ロボットの数値シミュレーションにおいては,昨年度と同様に跳躍動作における特異姿勢の利用法について研究を進めた.足が地面から離れた後の浮遊期における回転運動を抑えるため運動計画問題の定式化を見直し,より実際的な跳躍動作においても特異姿勢付近で省トルクでのエネルギ生成が行われることを確認した.さらに,実機製作に向けて最大トルク制約などを考慮した数値シミュレーション手法の構築に着手している.また,研究を進める中で,跳躍の離地と着地において特異姿勢の利用法が大きく異なる可能性があることが判明した. 2リンクロボットアーム実験機による結果は,国内会議において発表を行った.4リンク脚型ロボットの数値シミュレーション結果については,国内会議および国際会議において発表を行った.また,実験機の制御や特異姿勢の非線形性について情報収集および意見交換を行うため,国際会議への参加を行うとともにカーネギーメロン大学金出武雄教授との議論を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2011年度のモータ故障による遅れに伴い,2リンクロボットアーム実験機による実機検証がおおよそ6ヶ月遅れた.また,4リンク脚型ロボットの数値シミュレーションについては,当初の予想以上に離地と着地での特異姿勢の利用法が異なる可能性が判明し,その解析を現在集中して行っている.このため,当初計画の脚型ロボット実験機製作を意図的に先送りしている. ただし,特異姿勢の動力学的性質が実験機により実証された点,数値シミュレーションを通してその本質的な解明が進んでいる点では,順調に研究は進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,4リンク脚型ロボットの離地および着地での特異姿勢の利用法の違いについて,数値シミュレーションおよび理論的解析を通して,その解明を行う.これは,運動状況やリンク機構の自由度に応じた特異姿勢の動力学的性質をまとめることにつながり,本研究で目的とする動力学解析を大幅に進展させることになる. また,跳躍ロボットや跳躍動作についての研究は国内外で盛んに行われており,積極的な学会参加などを通して情報収集,意見交換を行い,研究の進展に結び付ける.実験機については,豊橋技術科学大学真下智昭助教の協力の下,効率的に開発を進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
数値シミュレーションの結果を十分に検証し,特異姿勢の動力学的性質を本質的に解明するため,4リンク脚型ロボットの製作を次年度に遅らせた.このため,「次年度使用額」として2013年度に一部の研究費を使うことで,この実験機の製作を進める.動力学解析の結果に応じて,離地もしくは着地のみに注目した実験機とすることを検討している.また,これまでに得られた結果をまとめ発表するため,国内外の学会への参加を積極的に行う.
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Research Products
(4 results)