2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23760230
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
浦久保 孝光 神戸大学, その他の研究科, 助教 (10335424)
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Keywords | ロボティクス / 特異姿勢 / 最適運動計画 |
Research Abstract |
本研究では,複数リンクからなるロボットにおける特異姿勢の力学的性質を調べ,重量物持ち上げ等の作業に対して特異姿勢を用いることが省トルクでの作業達成に有用であることを明らかにした.ロボットの特異姿勢とは,肘や膝などに対応する関節が伸び切った状態であり,その運動学的特異性から従来のロボット制御においては避けられる傾向が強い.本研究の結果は,理論,数値計算,実機実験によって特異姿勢の有用性を明らかにしており,ロボットの活用法や制御方法に今後大きな影響を与える可能性がある. 具体的に,2リンクアームによる重量物の引っ張り・持ち上げ動作,2リンクアームを持つ移動台車による重量物の引っ張り動作,4リンク脚型ロボットによる跳躍動作を対象として,その動作時間内の必要トルクを最小化する最適運動計画問題を解き,最適運動における特異姿勢の利用法を詳細に調べた.特異姿勢付近では,他の姿勢に比べて小さな関節トルクで大きな運動エネルギ(回転エネルギ)を生成可能であり,このエネルギがリンク機構の運動学的拘束を介して,手先の重量物や胴体などの並進運動エネルギとして伝達される.この動力学的知見を,運動方程式,数値計算結果を通してまとめ,その実用可能性を実機実験により示した. 2013年度は,4リンク脚型ロボットの着地時においても,特異姿勢の動力学的性質を利用して省トルクでのエネルギ吸収が行えることを数値計算によって示した.また,着地時の衝撃力を低減することと省トルクでのエネルギ吸収はトレードオフの関係になっていることを明らかにし,これらを同時最適化することで,足首関節には運動量伝達とエネルギ吸収(生成)の両方の観点で重要な役割があることを示した.また,2リンクアームを持つ移動台車による重量物の引っ張り動作についても,リンク機構の拘束を介して,リンク間での運動量とエネルギの非線形な伝達が起こることを示した.
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Research Products
(6 results)