2012 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞の分化誘導のためのリアルタイム機械刺激応答評価マイクロデバイスの構築
Project/Area Number |
23760232
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中島 雄太 山口大学, 理工学研究科, 助教 (70574341)
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Keywords | 機械刺激 / リアルタイム評価 / 分化誘導 / バイオMEMS |
Research Abstract |
前年度の成果より、デバイス製作の歩留まりが悪い点と培養チャンバへの細胞の導入効率が悪い点が明らかになったため、これらの点の改善を試みた。具体的には、歩留りの悪さの原因は、PDMS構造体の各層を積層する際の接合不備であったため、接合前に酸素プラズマにより表面のクリーニングと活性化を行い、流路形状やガスケットの形状を設計変更し層間の接合面積を広くすることによって歩留りを改善した。また、導入効率に関しては、チャンバへの細胞導入時の流速を極力遅くすることと、細胞導入用マイクロ流路の幅を幅200μm、深さ50μmから幅400μm、深さ50μmに変更しチャンバ導入時の流速を遅くすることで改善できた。 デバイスの改善後、実際に細胞を導入し、構築したデバイスの有効性と妥当性を検証した。細胞は骨芽細胞(MC3T3-E1)を使用した。まず、デバイスの生体適合性を調べるためにデバイス内に細胞を導入し24時間以上にわたって培養実験を行ったが、死滅することはなく生体適合性があることを実証した。次に、チャンバ内に導入した細胞に対して圧縮刺激を与え、その様子をリアルタイムかつその場で観察した。その結果、デバイスに圧力を印加するに従って細胞刺激用のダイアフラムが徐々にたわみ、たわんだダイアフラムによって細胞が直接徐々に押しつぶされていく様子を位相差観察することに成功した。さらに、刺激に対する細胞の応答を評価するために、細胞を蛍光染色し細胞内カルシウムイオン濃度の変化を観察した。その結果、細胞に刺激を与えた直後に細胞内カルシウムイオン濃度が急激に上昇する様子を捉えることに成功した。このように、本研究成果により、これまでに観察が困難であった、機械刺激中の細胞の形態変化の様子や刺激を受けた細胞の初期応答を評価することが可能となった。
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