2011 Fiscal Year Research-status Report
IPMCのセンサ応答モデルの解明とセンサ・アクチュエータ統合系への応用
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23760242
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
釜道 紀浩 東京電機大学, 未来科学部, 准教授 (70435642)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | センサ / ソフトアクチュエータ / 機能性高分子 / 周波数特性 / イオン導電性高分子 |
Research Abstract |
本研究では、イオン導電性高分子・貴金属接合体(Ionic polymer-metal composite: IPMC) と呼ばれる機能性高分子材料のセンサ機能に着目し、その応答モデルの構築とセンサ応用を目的としている。本年度は、実験環境を構築し、湿度を変化させた場合や、測定方法を変えた場合におけるセンサ特性の測定実験に取り組んだ。具体的な内容は以下の通りである。1. 実験環境の構築:センサ応答特性を測定するための実験装置を構築した。振動発生機により素子に変形を加え、そのときの変形量をレーザセンサで計測する。また、発生した起電力を信号増幅器で増幅し、コンピュータへ取り込む、もしくは、周波数解析装置で特性解析を行う。従来IPMCは膨潤させた状態で使用することを前提としていたが、センサとしては乾燥状態でも使用できるという結果が示されており、本研究では湿度を変えた状態で応答特性を測定できる実験環境を構築するため、湿度制御装置を設置した。2.センサ特性の実験的検証:構築した実験装置を用いて、環境の湿度を変化させた場合のセンサ応答について周波数応答解析を行った。電流計測した場合と、電圧計測した場合の比較を行うとともに、素子の電気インピーダンスについても測定を行った。測定の結果、まず、電流と電圧のどちらの計測方法においても,素子の乾燥と湿潤に関わらず,十分に観測可能な信号が発生していることが確認された.さらに、湿度条件の違いにより周波数応答特性が異なることが確認された.具体的には,湿度が高い湿潤状態においては電流応答が変形量に対して微分特性となり,湿度が低い乾燥状態においては発生電流が変形量に比例する結果となった.この実験結果をもとに、今後特性変化の要因の検証、動作モデルの構築を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度において、センサ特性を検証するための実験装置を構築し、測定実験を行った。次年度以降、本格的に取り組むモデルの構築のための基礎的データや有用な結果を得ることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、初年度の検証結果を拡張し、実験の条件を増やして検証を行うとともに、センサ・アクチュエータ統合系にした際の電気的干渉についてもその特性について実験により検証を行う。また、実験により得られる知見と、アクチュエータのモデリングで導入されている物理・化学的観点からのホワイトボックスモデリングの手法を元に、物理原理に基づくセンサの詳細なモデリングの研究に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に、検証用素子の製作のための材料と、測定用機器(力センサ、信号増幅器)の購入に使用する計画である。
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