2012 Fiscal Year Research-status Report
球面踵部,扁平足およびバネ足関節を持つ3次元受動歩行の安定解析とその実現
Project/Area Number |
23760247
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
衣笠 哲也 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (20321474)
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Keywords | 受動歩行 / 2足歩行 |
Research Abstract |
本研究の目的は,3次元2足受動歩行に,扁平足とバネ足関節および球面集部を導入し,その安定化原理を明らかにすることである. 本年度は,昨年度の目標であった,円弧踵部を持つ2次元歩行モデルによる安定解析について,本年度は円弧踵部を持つモデルによる2次元歩行のシミュレーションが困難であったため,円弧足と胴体を持つ2次元モデルに対してさまざまな歩行動作をシミュレーションにより実現し,その安定性について詳細に明らかにした.さらに,実験装置による歩行の実現可能性を高めるために幾何学的拘束制御手法を導入し,安定化領域が拡大されることを確認した.本結果から,さまざまな受動歩行を実現した後,幾何学的拘束制御を導入することで安定化領域が拡大できることが明らかとなり,今後実験によって歩行を実現するための有効な手法を得ることができた. また昨年度得た扁平足を持つ3次元受動歩行機の詳細な歩行データの解析結果に基づき,踵部を円形にした扁平足と直動膝関節を持つ3次元準受動歩行機を開発し,水平面上における歩行を実現した.円形踵部は,長方形を取る場合に比べ定常的な足部の着地が実現される.本結果は,今後,球面踵部を導入することの有効性を支持するものである.また,直動膝関節の振動によって歩行を励起する場合,その振幅と振動数を調整することが重要となる.振幅は昨年度までに得たバラストを用いた重心位置の調整に相当するため,今後,歩幅や接地時刻,圧力中心点などの情報をフィードバックし振幅を制御することで,より安定な歩行が得られるものと期待される. さらに,3次元受動歩行機の知見からプラスチック段ボールを用いた歩行機を試作し,受動歩行機を使った小学生から大学生までを対象とした工作教室もしくは講義を行い,広く社会に還元する試みを行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目標1と2の2次元および3次元動力学モデルを用いたシミュレーションはと安定解析は,モデルの導出のみでなく,歩行の実現も容易ではない状況である.したがって,その前段階である円弧足と胴体を持つモデルによる水平面上の歩行をシミュレーションにより実現するにとどまっている. 目標3の円弧踵部を持つ2次元歩行機の実現に関しては,円形踵部の扁平足を持つ3次元歩行機を実現できたため,この目標は不要となった. 目標4の新たな歩行機の実現は最終年度を予定していたが,目標3を省略できたため当初の予定よりも早く実現することができた. 以上のように,数値的な解析は遅れているが,実験装置の開発と歩行の実現および実機による歩行の解析が進んでいることから総合的に判断して,やや遅れているとした.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策は,今年度得られた円形踵部,扁平足および膝関節を持つ3次元歩行機による歩行実験を中心に行い,接地や歩幅などの情報をフィードバックするなど,より安定な歩行の実現を目指す.さらに,得られた歩行データを詳細に解析するとともに球面踵部を導入し,より自然な歩行の実現を目指す. また,安定解析については引き続き,2次元モデルによる歩行の実現とその解析を目指す. 以上の推進方策に従って研究を行うことで,より人に近い,自然で効率的な2足歩行の実現を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,主に実験装置の消耗品購入と成果発表を行うために研究費を使用する. 実験装置の実現には,プラスチック材料,アルミ材料,モータ,センサ,制御および計測のためのシステム構築などが必要で,現在までに実現した装置の改良,維持などを行う予定である. 成果発表は,国内外の学術会議への参加・発表および論文投稿を行う予定である.
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